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朝鮮・吉州飛行場跡地 [└日本統治時代の飛行場]

   2017年7月作成 2022/7更新  




北朝鮮咸鏡北道吉州(きるちゅ)郡。

ここに「吉州飛行場」がありました。

先頭のグーグルマップは水路部の地図を参考に作図しました。

咸鏡本線、道路、川等、位置決めのポイントになりそうなものが多いように思っていたのですが、

ピッタリの起点が見つからず、

水路部資料地図で作ったレイヤーをああでもないこうでもないと、モニターとにらめっこでグリグリ動かしたのですが、

最終的に飛行場敷地すぐ北側にある十字路(グーグルマップでは五差路)の道路の形が大体重なったため、

ここに合わせました。

ひょっとすると、壮大に1km位ズレてるかもしれませんのでご了承くださいませ。

当飛行場もネット上での情報が非常に限られており、

識別符号がK-31である。ということを除けば、WarBirdsの中で、

「吉州飛行場(咸鏡北道)
 当初は、滑空機用兼簡易飛行場として平坦な高台に設置。
 19年に約25万平方米を整備し、1000m級滑走路の建設に着手するが、未完成。」

と記されているのが、ハングル、英語も含めて検索した中でこれが唯一と言っていい情報でした。

余談ですが、上のグーグルマップにヒコーキのマーカーがあります。

グーグルアースの同じ位置にもヒコーキのマーカーがあり、"Kilch Highway Strip"とありました。

他サイトではこれを「吉州緊急滑走路」としているものもあります。

2km以上の長さがありますので、緊急滑走路には十分と思います。


■防衛研究所収蔵資料:「水路部 航空路資料第9 朝鮮地方飛行場及不時着陸場 昭和18年9月刊行」 

の中から当飛行場についての資料の一部を引用させて頂きます。

第13 吉州飛行場(昭和18年4月調)
管理者 朝鮮総督府逓信局。
位置 朝鮮咸境北道吉州郡徳山面。
   (吉州邑の南南西方約5粁、北緯40°55′0、東経129°19′0)。
種別 公共用陸上飛行場。
着陸場の状況
高さ
 平均水面上約90米。
広さ及形状
 本場は長さ南北700米、幅東西約400米の略長方形地域なり
 着陸地域は概ね図示の長さ南北600米、幅東西60米の砂利敷滑走地区を最適とす (付図参照)。
地表の土質
 粘土。
地面の状況
 滑走地区は整地の上砂利敷せる平坦且堅硬地なり・其の他の地域は一面に雑草密生せる平坦地なるも
 降雨後及解氷期には排水稍不良の為地表軟弱と為る・乾燥時は硬度中等程度なるを以て
 風向等に依りて草地の全地域を使用するも支障なし・場周に排水開渠あり。
場内の障碍物
 なし。
適当なる離着陸方向
 南又は北(恒風)。
離着陸上注意すべき点
 南北両端に在る排水溝を飛越えざる様注意を要す。
施設
格納庫なし・常駐員なし。
 昼間標識 吹流1・場周境界標識あり。
 夜間標識 なし。

周囲の状況
山岳
 周囲は概ね平坦なる耕作地にして特に南北方向は開濶なるも東及西方は山地なり
 即ち東方は南大川の対岸より直に山地と為り漸次東走するに従い標高を増し
 約7粁にして高さ500米内外の山岳南北に縦走す・
 西方は約2.3粁にして山麓に達し約10粁にして高さ800米の山岳重畳し更に西方は標高2,200米の長白山脈と為る。
河川
 東方約300米に小河流あり更に東方1.5粁に南大川南流す、
 本河は北西方約60粁の高頭山付近に源を発し大小河川を合流して日本海に注ぐ。
建築物
 場の西端中央部に高さ15米の吹流柱1基ある外周囲に障碍となる建築物
 なし。
電線 
 場の西方約100米に略南北に架設せる高さ7米の電灯線あり。

■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」

にも、当飛行場の1/10,000の要図がありましたが、飛行場の地割は水路部資料と同様でした。

要図には書き込みがあり、

判決 本飛行場は吹雪、霧の為吉州東北方高地帯(気象悪し)を通過
   し得ざる場合不時着に使用するを可とす
恒風:北

とありました。

同資料に当飛行場の情報がありました。

以下引用させていただきます。

位置 咸鏡北道吉州郡
積量 記載無し
地表の状況 土質砂混粘土にして堅硬なるも雨期及解
      氷期に於ては表面軟弱となることあり
周囲の状況 記載無し
天候気象の交感 記載無し
其の他 記載無し


■朝鮮交通史 1041p
 日本国内では航空機の進展に順応して、行政機構の設置、関連法令の制定と航空保安施設の整
備が行われていたが、朝鮮では昭和4年の日鮮満を結ぶ定期航空路の開設に伴いようやくこれに
取組むようになったが、しかも急速に整備する必要に追われた。(中略)
 定期航空開始に間に合うようこれの寄航地は次のように準備されたが、朝鮮の飛行場建設に当
たり特に留意しなければならぬ要点は
 (1)冬期に土壌の凍結がひどいこと
 (2)梅雨季には豪雨により地盤が軟弱となったり、飛行場が冠水するおそれがあること
等があったが朝鮮内では適当な候補地を得られないので、これが選定に当たっては相当苦慮させ
られ、施工に当たっても予想以上の困難が伴った。(中略)
 終戦までに整備した飛行場の概況は次の通りである。

吉州飛行場 1046p
 最初は滑空機訓練兼補助飛行場として平坦な高台に作られたが、昭和19年約25万平方米を整
備、1,000mの滑走路を作るべく着手したが未完成に終わった。




     朝鮮・吉州飛行場跡地       


吉州飛行場 データ(昭和18年4月調)
設置管理者:朝鮮総督府逓信局
種 別:公共用陸上飛行場
所在地:朝鮮咸境北道吉州郡徳山面(吉州邑の南南西方約5km)
座 標:N40°55′13″E129°18′47″
標 高:98m
滑走路:600mx60m
着陸帯:700mx400m
方 位:18/36
(座標、標高、滑走路長さ、方位はグーグルアースから)

関連サイト:
過去ログ - WarBirds   

この記事の資料:
朝鮮交通史
防衛研究所収蔵資料:「水路部 航空路資料第9 朝鮮地方飛行場及不時着陸場 昭和18年9月刊行」 
防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」


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