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アウトレット旅客機売ります [■ブログ]


 

「ボーイング、”旅客機版アウトレット”販売開始」

USO通信・時事


工場直売、旅客機のアウトレット品はいかがですか-

 ボーイングのユニークな試みが話題になっている。ボーイングでは737で始めたムービングラインによる生産方法(旅客機を流れ作業で組み立てるという新しい試み)を大型機にも順次導入しているが、現在は過渡期であり、どうしても不良品が発生してしまう。こうして発生した規格外の旅客機のうち、どうしても修理が難しいもの、改修に莫大な費用が掛かってしまうものに関しては、これまでスクラップ処分になっていたのだが、「多少難あり」ということを承知の上で購入する航空会社を募るという試みだ。

 ボーイングには現在こうした"アウトレット品"が100機程あり、工場併設の駐機場には様々な規格外品が並ぶ。例えば、787のコックピットを取り付けてしまったため、エンジンが2つしか操作できない747-8、777のものを付けてしまったため、異様に垂直尾翼が大きい737等、製造上のちょっとしたミスが多いのだが、中には主翼が4枚付いていたり、胴体の両端に機首があるという、一体どうしてこんなことになってしまったのか首をかしげたくなるような珍機もある。

アウトレット機販売に踏み切った背景

 取材に応じたボーイング民間航空機部門社長兼CEOのジム・マクガイアー氏は今回の試みについてこう説明する。「燃料費の高騰、航空会社間の競争激化、深刻なイベントリスク等、エアラインを取り巻く経営環境は特に近年非常に厳しいものがあります。そのため世界中のエアラインが求める旅客機はますます多様化しており、従来の画一化された機種ではうまくフィットしないケースも多々あります。そうした中、『これぞまさにウチの路線にピッタリ!』と、喜んで規格外の旅客機を購入するエアラインは、当初我々が想定していた以上に多く、手ごたえを感じています。全て純正品、メーカー保証付きというのも人気の理由です。ご承知の通り、民間機に複合材が使用される割合は近年格段に増えた訳ですが、複合材というのは従来の金属素材に比べて改修も処分も非常にコストがかかるのです。直すのも処分するのも大変ならば、そのまま売ってしまおう、というのがこの企画のそもそもの発端です。これは我々が進めるエコ・プロジェクトの一環でもあり、まさに時代に即した取り組みと言えます」。と述べ、新たなビジネスモデルに自信のほどを示した。実際にアウトレット機を購入したエアラインの中には、「これと同じものをあと10機作ってくれ」と、意図的に"欠陥品"を作るよう頼んでくるケースもあるのだという。

 「こんな考えられないミスをするとは、ボーイングの旅客機は本当に大丈夫なのか」-多くの人が持つであろう疑問を直接ぶつけてみた。民間航空機製造部門バイス・プレジデントのトム・マクナニー氏は苦笑しつつも我々にこう説明してくれた。「アウトレット機の販売を開始した当初、安全性を懸念する意見は実際非常に多く寄せられました。また、アウトレット機を実際に目にした人の多くも同様の感想を口にします。しかし「『歩留り』という言葉がある通り、製造の過程である程度の不良品が出てしまうのはどんな工業製品であっても仕方のない事なのです。特にムービングラインが導入されてから、作業スタッフは『この時間までにこの作業を終える』ということが厳しく求められるようになっています。流れてきた旅客機に次々部品を取り付けていく訳ですが、何かの理由で手元に準備されたのが別の機種の部品であった場合、それに気付かずについうっかり取り付けてしまうことがあり、これが不良品発生全体の68%という調査結果があります。今後はいかにこうした間違いを防ぐかが課題になると考えており、実際いくつかのアイディアを実施しているところです。公表しないだけで、エアバスにも実は同じような欠陥機体はたくさんあるはずですよ。製造上の不備が出てしまうのはある程度仕方のない事ではありますが、完成機は全て入念なテストを繰り返してから納入されますから、搭乗の際はどうぞご安心ください」。

 アウトレット機のこうした取り組みには思わぬ効果もあった。前述の通り改修困難機と判断されると、従来はスクラップ処分になっていた訳だが、問題の部分に関わった製造スタッフは、機体価格が価格なだけに責任を感じ、自宅で体育座りをしてしまうケースや、部門同士で責任のなすり合いをして製造現場が険悪な雰囲気になることも多かった。しかし今は大きなミスがあっても売れる可能性があるため、現場の雰囲気が劇的に変わったという。

 "欠陥機"に命を預ける事になる乗客に不安はないのだろうか。非常にユニークな試みを進めつつも、ボーイング、エアライン共にこの点を非常に心配していたというが、エアライン側によれば 実際に就航してみると乗客の中にこの点を気に留める人はまずいないという。「自分がどんな機種に乗るのかを気にするのはごく一部の特殊な人に限られています。飛行機を利用する一般の乗客にとって重要なのは、チケット代と自分がどんな座席に座るのか、隣にどんな人が座るのか、それに飛行機が時間通りに到着するのかといったことです。先日海外エアラインのアウトレット機が初めて成田に飛来したのですが、デッキには特殊な人たちが大挙して訪れていましたよ」

 ボーイングのアウトレット旅客機は買い手が決まるとワシントン州のモーゼスレイク空港で入念なテスト飛行を行ってからエアラインに引き渡される。記者がモーゼスレイク空港を訪れた際も、訳ありの747-8と737がテスト飛行を実施していた。

 

無題5.png

エアラインパイロットによる初の引き渡しテスト飛行から戻って来た747-8ESV(Engin Sukunai Version) :モーゼスレイク空港(2枚とも)

 

無題7.png

テスト飛行中の737-476EOV(Engin Oosugi Version)

 

関連リンク:
アウトレット旅客機販売についてのニュースリリース
両端にコックピットが付いた777の初飛行動画


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共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 20

鹿児島のこういち

もう今日から4月です。1日の朝から雨です。今日は仕事お休みで高校に合格した娘(旧鴨池空港の写真で足だけ参加した)の制服を学校に取りにいきますよ。
写真、きれいに撮れてますね。しかし主翼が4枚付くって3枚目を取り付ける時点でどこに付けんだろうって思わないものなのでしょうか?(゜д゜)

by 鹿児島のこういち (2015-04-01 08:18) 

oldman

何時もながら、
ピカイチの記事と写真・・
いや~素晴らしい!!
毎年、この時期を楽しみにしています。
by oldman (2015-04-01 11:49) 

うめ

ご無沙汰しております。
本年も大作有難うございます。(笑)
by うめ (2015-04-01 15:03) 

セバスちゃん

"アウトレット品"が100機程あり!
保管スペースって?凄すぎますね、さすが米国。
一度でいいから、引き渡す前に見渡してみたいかも。

by セバスちゃん (2015-04-01 20:13) 

Takashi

SukunaiとかOosugiという日本語も世界で通じるようになったんですね。
しかし、両端にコックピットって、製造ラインの仕組みを見てみたいですよ。
by Takashi (2015-04-01 20:25) 

an-kazu

Oosugi・・・┐(´д`)┌ヤレヤレ
 米海軍が次期対潜哨戒機採用したら笑える(^^)v
by an-kazu (2015-04-01 22:19) 

me-co

あはは(^o^v
恒例のヤツだ!今年も良く出来てますねぇ。
双頭、とくれば、鷲と連想しますが、
双頭のひこーき・・・ってーのも見てみたいです。
by me-co (2015-04-02 01:38) 

再生おじさん

御無沙汰です。m(_ _;)m

(*-゙-)ウーン… 真に迫る記事ですなぁ・・・
この記事、某国サイトに紹介しても良いですか?
どうせなら、ワールドデビュー・・・・しちゃいましょう♪

by 再生おじさん (2015-04-02 22:42) 

miffy

アウトレット品、個人にも売ってくれないかな~
両端に機首がついてたら便利かもって思っちゃいました(笑)
by miffy (2015-04-02 23:10) 

とり

皆様 コメント、nice! ありがとうございますm(_ _)m

■鹿児島のこういちさん
あの可愛いあんよのお嬢さんがもう高校生ですか!
ご入学おめでとうございますm(_ _)m
記事見返してみたのですが、貴重なお写真を頂いてからもう5年も経つのですね。
早いな~。
>どこに付けんだろ
今度機会があったら聞いてみます~(o ̄∇ ̄o)

■OLDMAN様
恐縮です。
因みに既に来年のネタも既にできております^^

■うめさん 
ご無沙汰しております。
(笑)が嬉しいです^^

■セバスちゃんさん
確かにすごいスペースですよね(汗)

■Takashiさん
"mottainai" 同様に広まっているらしいですよ。

■an-kazuさん
>次期対潜哨戒機採用
そのネタ来年パクらせて…いえ、オマージュさせて頂くかも。

■me-coさん
お粗末様でした^^;

■再生おじさん
こちらこそご無沙汰しておりますm(_ _)m
どのサイトか分からないですけど、オッケーですよ~。

■miffyさん
現状渡し$500の737があるそうです。
パイロットのお父様にフェリーして頂くというのは如何でしょうか?
by とり (2015-04-03 06:24) 

takkun

Engin Oosugi Versionの737、乗って見たいです(笑)
離陸時の加速G、凄そうですね。
でも、エコの時代だからやっぱりふんわり加速なのかな?
by takkun (2015-04-03 17:55) 

おろ・おろし

スカイマークのA330は、既に2機日本を離れ、
ヨーロッパの方に飛んで行ったそうですから、エアバスも
同様のビジネスを手掛けているんでしょうね・・・。

あっこれは、アウトレットではなく、質流れ?

失礼しました。
by おろ・おろし (2015-04-03 22:35) 

とり

■takkunさん
>Oosugi
コックピット、配管関係は737のままなので、N0,1とNo,4エンジンはダミーです。
(重量増で)ふんわり加速を余儀なくされる機体です。
じゃあ外せばいいじゃないかと思いますが、外す事が出来ません。
理由はナゾです。

■おろ・おろしさん
>既に2機
そうなんですか。。。
スカイマーク、今後どうなっちゃうんでしょうね。
確かにこのケースは質流れですね(o ̄∇ ̄o)
by とり (2015-04-04 05:47) 

macharun

GJです!
ニヤニヤしながら楽しませていただきました!!

by macharun (2015-04-04 13:54) 

おろ・おろし

スカイマークのA-330お引越し情報元は、
こちらからです。

http://www5.hp-ez.com/hp/8479/page4/bid-395807#comment

このサイトの今日の書き込みでは、社名も変え、再塗装も検討中とのこと。
by おろ・おろし (2015-04-04 17:33) 

とり

■macharunさん
お粗末様でした^^;

■おろ・おろしさん
リンク先拝見しました。
どうもありがとうございましたm(_ _)m
787の最新情報等、以前よくチェックしていたサイト様でした。
しかし凄い情報網ですよね~。
一体ドコからどうやって情報仕入れてくるのかと、
一般人のオイラは不思議でなりません。
by とり (2015-04-05 09:42) 

ハイマン

ご無沙汰しています。
どうしてこんな間違った組み立てをするのか
理解できないと思うのと、ボーイングって大丈夫?
って疑問がうまれます。

by ハイマン (2015-04-05 10:47) 

とり

■ハイマンさん
こちらこそご無沙汰しております。
そうですね。
不思議ですね。
by とり (2015-04-06 05:44) 

マリオ・デ・ニ−ロ

大変ご無沙汰しています(汗)

相変わらずのUSO通信!流石とりさん・・・
今年度も楽しい記事、へぇ~な記事を楽しみにしております。
by マリオ・デ・ニ−ロ (2015-04-09 17:59) 

とり

■マリオ・デ・ニーロさん
こちらこそご無沙汰しておりますm(_ _)m
今年度もどうぞ宜しくお願い致します^^
by とり (2015-04-10 05:23) 

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