ボーイングとエンブラエル提携へ [├雑談]
■ボーイングとエンブラエル提携へ
7月5日、ボーイングとエンブラエルは提携確立のための覚書(MoU)に署名しました。
提携に向けた動きは以前からあったので、既にご存知の方からすると、
「いよいよか」という感じでしょうか。
この覚書の目玉は何と言っても、「エンブラエルの民間機事業を母体とする合弁会社の設立」が含まれていること。
ボーイングの一番小さい旅客機はB737(おおよそ110~190席)な訳ですが、
エンブラエルとの提携により、ボーイングはB737より小さい旅客機のラインナップを、
リージョナルジェットのカテゴリーでは世界最大のメーカーであるエンブラエル機で揃えることになります。
一方の雄、エアバスは既にボンバルディアのCシリーズ
(リージョナルジェットとA320、B737の中間くらいのヒコーキ)
の事業社を買収し、Cシリーズを"A220"と改称するなど関係を深めております。
中国は航空機開発の分野でロシアと仲良くいろんなプロジェクトを立ち上げており、
産みの苦しみ真っ只中のMRJがますます世界中から取り残されちゃった感があります。
三菱とボーイングの関係は「世界でも類を見ないほど成功した関係」と評されているのですが、
三菱の立ち位置は、飽くまでボーイングの下請け。
MRJ開発は三菱にとって、単なる下請けからの脱却であり、
三菱航空経営陣は、「我々は航空事業をMRJで終わらせるつもりはない」と明言しています。
それでMRJが無事生産へと移行したならば、三菱航空は次なる一手として、
より大型の旅客機の開発を目指すことになるであろうことは以前から言われていましたし、
経営陣もこの可能性を否定していません。
三菱がMRJより大きなヒコーキを計画した場合、それは当然B737と競合することになり、そうなった時、
果たしてボーイングと今のような良好な関係を保ったままでいられるだろうか。
なんてことが大真面目に心配されていました。
またこれは可能性としての話なんですが、
「MRJをボーイングのラインナップに加えてもらったらどうか」なんて情報が流れたこともあり、
三菱航空の弱点を補完する意味から、オイラもそういう方向に進んだ方が良いと思っていました。
しかし現実には、三菱がMRJ開発でもたついている間にボーイングはエンブラエルと提携を結んだのでした。
「リージョナルジェット世界一のメーカーがボーイングとの提携という道を選んだ」。
これは航空業界の中でとても大きな動きであり、そしてMRJにとってはとてつもなく重い現実です。
こんな状況で、三菱にとって何かポジティブな面はないものだろうかと妄想してみました。
~以下オイラの妄想話を~
■自らに枷をはめたエンブラエル
今回のボーイングとエンブラエルの提携によって、
エンブラエルのリージョナルジェット部門がより盤石になるであろうことは想像に難くないのですが、
その一方で、今後提携関係にあるエンブラエルがわざわざボーイングの牙城を崩すような、
より大きな旅客機の開発に手を出すとはちょっと考えにくいです。
ちょっと前までのボーイングは、エンブラエルの中型機進出を非常に警戒していました。
今回の提携話はボーイングの側からすると、エンブラエルを取り込むことによって、
リージョナルジェット王者の中型機進出を阻止するという意図があるのかもしれません。
エンブラエル側からしてみれば、ボーイングという強力な後ろ盾を得ることと引き換えに、
中型機開発に自ら枷をはめたと言えるのかもしれません。
リージョナルジェット王者のエンブラエル、
そしてリージョナルジェットより少し大きなヒコーキを本格的に生産し始めたボンバルディア。
その両雄が、揃って巨大メーカーとの提携という形を選択している一方で、
三菱だけがすっかり世界から取り残されたような状況ですが、
これは巨大メーカー(三菱にとっては特にボーイング)の思惑、しがらみをそれほど気にせずに
今後の開発を進めることが可能ということでもあるかと。
ボーイングの下請けとして良好な関係を維持し、
これから先もボーイング様から大型プロジェクトの受注を得続けることを期待しつつ、
MRJ開発ではボーイングとより深い提携を結んでべったりおんぶにだっこの状態で、
でも中型機開発にも野心を持っていて、ボーイングの牙城を崩す機をうかがっている-
考えてみれば、これは非常にムシのいい話ではないでしょうか。
オイラが現実を知らず、余りに楽観的過ぎるのかもしれませんが、
三菱航空が矜持を持ってMRJの先を目指そうとした時、
今回ボーイングがエンブラエルと非常に深い提携を結んだこと、
またボーイングと三菱が深い提携を結ばなかったことは、
結果的に良かった。ということになるかもしれません。そうなればいいなぁ(願望)。
■オールジャパン体勢
「MRJ開発がもたついた」と書いちゃいましたが、実は必ずしもそういうことではなく、
「これは旅客機開発に当然必要な産みの苦しみであり、決して無駄にもたついている訳ではない」
とするこの分野の非常に詳しい方のご意見もあります。
今はどうしてもホンダジェットと比較して揶揄されてしまうことが多いですが、
MRJの事業化が正式に決定(ATO)し、開発がスタートしたのは2007年。
まだ10年そこそこであるのに対し、(単純な比較はできないんですが)ホンダジェットは30年かかってますからね。
オイラとしましては、今はともかくMRJの開発が順調に進んでいって欲しいです。
それともう一つ、三菱航空の遥か先にエンブラエルが立ちはだかっている訳ですが、
リージョナルジェットの王者ですら、自らに枷をはめ、ボーイングとの提携という道を選んだことを考えると、
やっぱり日本も早急に「一国一メーカー」の体制をとって欲しいです。
米国に連敗続きだったヨーロッパの各航空機メーカーは生き残りをかけて結集し、1970年にエアバスを作りました。
「是非日本も欧州に倣うべきだ」とする声は大きいのですが、
どうして日本に同じことができないのかについては、以前の記事でも書きました■
簡潔に述べるなら、「日本の各航空機メーカーは重工業が母体で、そこからの分離が難しいから」なんですが、
そこを曲げてでも、一刻も早くなんとかしてオールジャパン体勢を構築して欲しいです。
明日から「東北、関東強化月間」デスヨ
7月5日、ボーイングとエンブラエルは提携確立のための覚書(MoU)に署名しました。
提携に向けた動きは以前からあったので、既にご存知の方からすると、
「いよいよか」という感じでしょうか。
この覚書の目玉は何と言っても、「エンブラエルの民間機事業を母体とする合弁会社の設立」が含まれていること。
ボーイングの一番小さい旅客機はB737(おおよそ110~190席)な訳ですが、
エンブラエルとの提携により、ボーイングはB737より小さい旅客機のラインナップを、
リージョナルジェットのカテゴリーでは世界最大のメーカーであるエンブラエル機で揃えることになります。
一方の雄、エアバスは既にボンバルディアのCシリーズ
(リージョナルジェットとA320、B737の中間くらいのヒコーキ)
の事業社を買収し、Cシリーズを"A220"と改称するなど関係を深めております。
中国は航空機開発の分野でロシアと仲良くいろんなプロジェクトを立ち上げており、
産みの苦しみ真っ只中のMRJがますます世界中から取り残されちゃった感があります。
三菱とボーイングの関係は「世界でも類を見ないほど成功した関係」と評されているのですが、
三菱の立ち位置は、飽くまでボーイングの下請け。
MRJ開発は三菱にとって、単なる下請けからの脱却であり、
三菱航空経営陣は、「我々は航空事業をMRJで終わらせるつもりはない」と明言しています。
それでMRJが無事生産へと移行したならば、三菱航空は次なる一手として、
より大型の旅客機の開発を目指すことになるであろうことは以前から言われていましたし、
経営陣もこの可能性を否定していません。
三菱がMRJより大きなヒコーキを計画した場合、それは当然B737と競合することになり、そうなった時、
果たしてボーイングと今のような良好な関係を保ったままでいられるだろうか。
なんてことが大真面目に心配されていました。
またこれは可能性としての話なんですが、
「MRJをボーイングのラインナップに加えてもらったらどうか」なんて情報が流れたこともあり、
三菱航空の弱点を補完する意味から、オイラもそういう方向に進んだ方が良いと思っていました。
しかし現実には、三菱がMRJ開発でもたついている間にボーイングはエンブラエルと提携を結んだのでした。
「リージョナルジェット世界一のメーカーがボーイングとの提携という道を選んだ」。
これは航空業界の中でとても大きな動きであり、そしてMRJにとってはとてつもなく重い現実です。
こんな状況で、三菱にとって何かポジティブな面はないものだろうかと妄想してみました。
~以下オイラの妄想話を~
■自らに枷をはめたエンブラエル
今回のボーイングとエンブラエルの提携によって、
エンブラエルのリージョナルジェット部門がより盤石になるであろうことは想像に難くないのですが、
その一方で、今後提携関係にあるエンブラエルがわざわざボーイングの牙城を崩すような、
より大きな旅客機の開発に手を出すとはちょっと考えにくいです。
ちょっと前までのボーイングは、エンブラエルの中型機進出を非常に警戒していました。
今回の提携話はボーイングの側からすると、エンブラエルを取り込むことによって、
リージョナルジェット王者の中型機進出を阻止するという意図があるのかもしれません。
エンブラエル側からしてみれば、ボーイングという強力な後ろ盾を得ることと引き換えに、
中型機開発に自ら枷をはめたと言えるのかもしれません。
リージョナルジェット王者のエンブラエル、
そしてリージョナルジェットより少し大きなヒコーキを本格的に生産し始めたボンバルディア。
その両雄が、揃って巨大メーカーとの提携という形を選択している一方で、
三菱だけがすっかり世界から取り残されたような状況ですが、
これは巨大メーカー(三菱にとっては特にボーイング)の思惑、しがらみをそれほど気にせずに
今後の開発を進めることが可能ということでもあるかと。
ボーイングの下請けとして良好な関係を維持し、
これから先もボーイング様から大型プロジェクトの受注を得続けることを期待しつつ、
MRJ開発ではボーイングとより深い提携を結んでべったりおんぶにだっこの状態で、
でも中型機開発にも野心を持っていて、ボーイングの牙城を崩す機をうかがっている-
考えてみれば、これは非常にムシのいい話ではないでしょうか。
オイラが現実を知らず、余りに楽観的過ぎるのかもしれませんが、
三菱航空が矜持を持ってMRJの先を目指そうとした時、
今回ボーイングがエンブラエルと非常に深い提携を結んだこと、
またボーイングと三菱が深い提携を結ばなかったことは、
結果的に良かった。ということになるかもしれません。そうなればいいなぁ(願望)。
■オールジャパン体勢
「MRJ開発がもたついた」と書いちゃいましたが、実は必ずしもそういうことではなく、
「これは旅客機開発に当然必要な産みの苦しみであり、決して無駄にもたついている訳ではない」
とするこの分野の非常に詳しい方のご意見もあります。
今はどうしてもホンダジェットと比較して揶揄されてしまうことが多いですが、
MRJの事業化が正式に決定(ATO)し、開発がスタートしたのは2007年。
まだ10年そこそこであるのに対し、(単純な比較はできないんですが)ホンダジェットは30年かかってますからね。
オイラとしましては、今はともかくMRJの開発が順調に進んでいって欲しいです。
それともう一つ、三菱航空の遥か先にエンブラエルが立ちはだかっている訳ですが、
リージョナルジェットの王者ですら、自らに枷をはめ、ボーイングとの提携という道を選んだことを考えると、
やっぱり日本も早急に「一国一メーカー」の体制をとって欲しいです。
米国に連敗続きだったヨーロッパの各航空機メーカーは生き残りをかけて結集し、1970年にエアバスを作りました。
「是非日本も欧州に倣うべきだ」とする声は大きいのですが、
どうして日本に同じことができないのかについては、以前の記事でも書きました■
簡潔に述べるなら、「日本の各航空機メーカーは重工業が母体で、そこからの分離が難しいから」なんですが、
そこを曲げてでも、一刻も早くなんとかしてオールジャパン体勢を構築して欲しいです。
明日から「東北、関東強化月間」デスヨ