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千島・擂鉢(海軍)飛行場跡地 [├国内の空港、飛行場]

   2022/1更新(未訪問)  



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1945年(昭和20年)5月調査資料添付地図 Translation No. 65, 12 May 1945, digest of Japanese air bases. Report No. 3-d(54), USSBS Index Section 6 (国立国会図書館ウェブサイトから転載)

幌延島にあった日本海軍の「擂鉢飛行場」。

前記事の柏原飛行場の南南西約63km、島の中部、太平洋岸にありました。

■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土周辺-16飛行場記録(千島の部)第1復員局」の中に、

「擂鉢(海軍)飛行場要図」があり、上のグーグルマップはこの要図から作図しました。

施設等も青マーカーで加えましたが、位置は大まかなものですのでご了承くださいませ。

同資料に、「幌延島擂鉢海軍飛行場調書」がありました。

以下引用させていただきます。

判決
一、海軍に於て鋭意建設中にして東西、南北の一〇〇〇米x
  一〇〇米の二方向(Lを左右反転)形なり
二、滑走地区均土転圧完成し飛行機の離着陸に支障なし
三 擂鉢山東方太郎池東及南方平原地にして擂鉢漁業
  工場地帯の北方一五〇〇米に在り
四 海軍無線送受信所及中央気象台測候所及北千島漁
  業会社巡査駐在所ありて冬季と雖も六四名常住人を有
  し夏期における漁場開設となれば二六〇〇名以上の人口となる

位置
幌延島中部東海岸擂鉢

調査年月日
昭和一八年七月一日

港湾及上陸點
擂鉢湾又は地額浦の二ヶ所を有するも何れも遠浅にして特に
地額浦は岩石点在し「ボート」と雖も接岸困難なり、擂鉢
湾には漁場の桟橋数か所突出し三〇頓級以下の漁船は自由
に接岸することを得資材集積場十分に在り

土質
一、茶褐色草根の腐葉土にして堅硬なり
二、山岳に近接するに従い火山灰質となり軟弱となる

滑走地区
 広袤及形状
  東西南北共に一〇〇〇米x一〇〇米の方向(Lを左右反転)形なり
 恒風
  南北風
 地表面の状態
  自然土を均土転圧せしものにして堅硬なり
 将来の拡張能否
  北方三〇〇米の余地あり
 使用上の注意
  南方擂針山(高八四米)北方松山(高一〇〇〇.四米)及東北方に太郎山を有
  し南岸工場地帯に最高五〇米以下の煙突点在するを以て注意
  を要す
 其の他
  完成せば良滑走路たるべきも東西南北共に何れも側風を受ける
  虞あり

付属地区及周囲の状況
 滑走路地区との関係及広袤
  一、滑走地区南方及東方に十分なる余地あり
  二、目下何等の施設なし
 飛行部隊の展開地区 地区部隊の展開地区
  滑走地区南方及東方又は松山山麓に展開せしむるは可なり
  目下何等の施設なし
 宿営の為の諸施設
  一、海軍に於て概ね二〇〇名内外収容し得る兵舎あり
  二、漁場関係工場及宿舎を使用せば二〇〇〇名以上の収容し得
 市街村落
  南方海岸に沿い概ね一五〇〇米に亙り漁業関係諸建築物あり
 煙突術工場
  南方海岸に添い漁工場煙突最高五〇米以下のもの点
  散する外摺鉢山西方に無線電柱最高七〇米のもの点散する
 山岳森林堤防
  西南方二〇〇〇米に摺鉢山起立し坂井山、松山、太郎山系の山脈を有す
 河海湖沼水流の状態
  太郎沼を最大とし四ヶ所点散す 河川は佐久間川を最大とし
  石井川、平川の三川ありて何れも急流にして岩石川なり
 交通通信
  不定期に漁場関係船舶交通し夏季に於ては概ね一週一回其の他二
  ヶ月一回にして冬季(十一、十二)は殆どなし海軍施設及気
  象台に無線送受信所あり
 飲料水及雑用水の状況
  一、石井川、平川、佐久間川何れも飲用に適し水量豊富なり
  二、石井川は漁業関係に於て水道となし使用しつつあり

気象
 晴雨日数
  十月十一月に於て晴天十五日降雨五日内外其の他
  の月にて一ヶ月概ね晴天二日雨天七日内外にして雲天の日多し
 降水量
  夏季強雨断続するも其の他は少雨の断続なり
 気温
  最低-15℃ 最高+36℃
 積雪量及質
  平坦地約六〇糎内外吹溜箇所は丈余に及び粉雪なり
 霧及煙霧等
  春夏季に於て煙霧又は霧の発生極めて多く一日数回断
  続す冬季は全くなり初秋に於て一ヶ月約二〇日あり
 其の他
  擂鉢測候所に於て聴取せしものを記述す

  所見
   一、漁場関係諸施設を利用せば工場及宿営施設は
     十分なる価値ありて尚開漁間は二〇〇〇名以上を収容し
     得るならん
   二、外周は山岳に覆われ山腹以上は霧により包まるる月多く
     視程宜しからざる日多し
   三、中央気象台観測所は長以下約二〇名常駐し観測
     に任じあれば大いに利用するを要す
   四、海軍無線通信所あり


■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」
にも同じ要図と情報がありました。




     千島・擂鉢(海軍)飛行場跡地         
擂鉢飛行場 データ(1943年7月1日現在)
設置管理者:海軍
種 別:陸上飛行場
所在地:幌延島中部東海岸擂鉢(現・サハリン州 セヴェロ=クリリスキー・ライオン)
座 標:50°11'20.8"N 155°45'32.3"E
標 高:10m
滑走路:1,000mx100m 2本
方 位:06/24,14/32
(座標、標高はグーグルアースから、方位は地理院から)

関連サイト: 
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この記事の資料:
防衛研究所収蔵資料「陸空-本土周辺-16飛行場記録(千島の部)第1復員局」
防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」


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