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朝鮮の飛行場 [■ブログ]




ということで千島強化月間終了しましたm(_ _)m

防衛研究所収蔵資料「航空路資料第9 朝鮮地方飛行場及不時着陸場 昭和18年9月刊行」

の中に、朝鮮半島にて日本が建設したの14飛行場の要図と情報があり、

2017年7月~8月に記事をアップしました。


その後、2019年12月に防衛研究所でしこたま資料を撮影してきたのですが、その中に

防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」

があり、この中に朝鮮半島の28飛行場の要図と情報が掲載されていました。

このうち16は、前回の資料にはなかった飛行場の情報です。

それでこの16飛行場について、来週から毎週月曜日に1つずつアップします。


この資料の序文にはこうありました。

一、本飛行場記録は最近の飛行場の状況に就き現在入手しある資料を
  基礎とし集録せるものにして補修を要すべき箇所多々あるべきも
  取敢えず参考の為配布す
二、関係各部隊は本記録と現在の状況と相異せる箇所其の他所要資料
  あらば第一航空軍司令部に送付せられ度
三、補修箇所は逐次通報すべきに付、その都度補足せられ度


(コロナの様子を見ながらなんですが)

来年の1月いっぱいまで「朝鮮強化月間」です。

よろしければお付き合いくださいませ~。

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千島・天寧(海軍)飛行場跡地 [├国内の空港、飛行場]

   2022/1更新(未訪問)  



7.png
1945年(昭和20年)5月調査資料添付地図 Translation No. 65, 12 May 1945, digest of Japanese air bases. Report No. 3-d(54), USSBS Index Section 6 (国立国会図書館ウェブサイトから転載)

択捉島中部、あの単冠湾にあった日本海軍の「天寧飛行場」。

■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土周辺-16飛行場記録(千島の部)第1復員局」の中に、

「天寧(海軍)飛行場要図」があり、上のグーグルマップはこの要図から作図しました。

(南側の滑走路は上に貼った図から付け足しました)

当飛行場は戦後もソ連によって拡張が続けられたようで、様々な地割が残っているのですが、

「要図にある日本海軍当時の飛行場」バージョンということでご了承くださいませ。

要図が大まかなため、施設の位置含め精度はおおよそです。

同資料内の情報を以下引用させていただきます。

位置
択捉島振別天寧

飛行場
1.海軍飛行場として滑走路(八五〇x四〇)二本の舗装完備しあり
2.滑走路以外は地盤軟弱にして凸凹多く排水不良なり
3.目下大型機の使用に適する如く滑走路を応急的に延長転圧
 する如く計画中なり

施設
1.格納庫四棟(大型機三機収容し得るもの)完成しあり
2.宿営施設は海軍側兵舎(六〇〇名収容可)の他付近部落
 二七棟(に七棟?)あり
3.現派遣部隊は海軍兵舎を借用しあり

気象
1.恒風は北西を主とす
2.降雪は十月下旬に初り三月中旬より雨雪となり四月末消雪す
3.霧の発生は五月中旬より初り六月最も多く七、八月頃迄発生す

交通
1.揚陸場より滑走路を経て兵舎に至る外自動車の使用不可
 能なり
2.島内運搬機関は夏季は馬車冬季は馬橇なり
3.北海道との連絡は四月中旬より十一月末迄は概ね一ヶ月三回定
 期便あり其の他十二月一回一、二、三月は締氷の為欠航する事多し

其の他
1.島内に大山(九八五米)単冠山(一六三九米)あり
2.部落民の過半数は前科を有す


■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」

にも同じ要図と同じ情報がありました。



     千島・天寧(海軍)飛行場跡地         
天寧(海軍)飛行場 データ
設置管理者:海軍
種 別:陸上飛行場
所在地:択捉島振別天寧
座 標:44°55'20.1"N 147°38'09.2"E
標 高:13m
滑走路:850mx40m 2本
方 位:08/26,13/31
(座標、標高はグーグルアース、滑走路長さは資料、方位は地理院から) 

関連サイト: 
ブログ内関連記事  

この記事の資料:
防衛研究所収蔵資料「陸空-本土周辺-16飛行場記録(千島の部)第1復員局」
防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」


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千島・択捉島紗那不時着場跡地 [├国内の空港、飛行場]

   2020/12更新(未訪問)  




択捉島紗那(しゃな)村にあった日本軍の「択捉島沙那不時着場」。

■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土周辺-16飛行場記録(千島の部)第1復員局」の中に、

「択捉島沙那不時着場」図があり、上のグーグルマップはこの図から作図しました。

後述しますが、当不時着場の位置情報として、

紗那村東方約五〇〇米 
紗那沼西南方約四〇〇米
紗那川と紗那沼川の交流点付近を起点とする東方約六〇〇米四〇米の東西に亙る一方向

という非常に詳細な記述がありました。

他もこの位詳細な情報があると助かるんですが…。

余談ですが、当不時着場のすぐ上にある紗那沼は、リンドバーグが極東航路開設の途中で着水した場所でもあります。

地割が見当たらないため、「情報からするとおおよそこの辺り」という位置決めをしております。

情報によりますと、不時着陸場は「東西方向」とあるのですが、

図はきちんとノースアップであることを明示した上で、正確に東西方向ではなく、やや斜めになっています。

それで図と同じ角度で斜めに作図しました。

また、図には不時着場に 600mx40m と記入があり、

斜めになっている不時着場と同じ角度の矢印で恒風の方向が示されています。

同資料にある情報を以下引用させていただきます。


択捉島沙那不時着場
判決
一、紗那村東方約五〇〇米紗那沼西南方約四〇〇米紗那川と
  紗那沼川の交流点付近を起点とする東方約六〇〇米四〇
  米の東西に亙る一方向を概ね不時着陸場として使用し得べし
  然れども此の地積は放牧場として牧柵散在しあるを以て
  之を除去するに非らざれば着陸危険なり、牧場は総て民有地
  なり
二、恒風は四季を通じ概ね東西の二方向にして風速は中部千島に比
  し少なるものの如し
三、牧柵のため現在の儘にては決死的に非らざれば不時着と
  雖も着陸不可なり

港湾及上陸點
一、択捉島西海岸紗那港又は有明港とす 然れども両港共に遠
  浅なれば五〇屯級の漁船と雖も接岸することを得ず
  艀舟又は「ボート」に據らざるべからず
二、上陸点資材集積場は相当大なる地積を有す
  
土質
黒褐色にして堅硬なり熊笹小牧草繁茂の現況にて差支えなし

滑走地区
 広袤及形状
  東西に亙る六〇〇米x四〇米の一方向のみとす
 恒風
  西風又は東風

 地表面の状態
  高さ四〇糎以下の熊笹及牧草なり
 将来の拡張能否
  なし
 使用上の注意
  牧柵散在し且山岳四周にあり
 其の他
  紗那沼及東方に至るに従い森林地帯となり高き針葉樹あり特に西
  方紗那村内には無線電柱(高さ約八〇米)二本直立しあり

周囲の状況
 飲料水及雑用水の状況
  紗那川又は処々に湧水ありて水質良好にして飲料雑用共に
  豊富なり

気象
 晴雨日数
  快晴僅かに一年を通じて七日にして其の他の大部分曇天なり
  曇天と雖も一ヶ月概ね十日青空を望み得
 降水量
  0.1m/m以上一ヶ月平均十七日10m/m以上一ヶ月平均十三日なり
 気温
  最高+24.3℃ 最低-18℃なり
 積雪量 霧及煙霧
  一、二、三月最も多く粉雪にして最大積雪量約四二糎なり
  六、七月最も多く一、二、三、一〇、一一、十二月は殆どなし

其の他
一、飛行場として眞價なきものと認む
二、常住人ありて択捉島中最大の村落なり
三、紗那村別飛村道中間南方には相当広大なる平坦地(二〇〇米x一〇〇〇
  米)あるも人跡未踏にして「エゾ」松密生し天然の大森林なり


■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」

にも同じ要図と、ほぼ同じ情報がありました。

資料では「択捉島紗那不時着場」と表記されているんですが、

情報を見ると、牧柵があちこちにあって、着陸は決死的であり、

「飛行場としての価値なし」とバッサリ!Σ(゚Д゚;)

この資料は終戦より少し前の情報を纏めたものみたいなんですが、

情報を見る限りこの時点では、不時着陸場として実際に使用するという段階ではなく、

候補地レベルな感じに見えます。

当不時着場はネットでも情報がないため、当不時着陸場が結局そのまま使われないまま終戦を迎えたのか、

民有地の地権者と交渉してきちんと不時着陸場として整備したのか不明です。



     千島・択捉島紗那不時着場跡地         
択捉島紗那不時着場 データ
設置管理者:日本軍
種 別:不時着陸場
所在地:択捉島紗那村東方
座 標:45°13'34.3"N 147°53'39.4"E
標 高:6m
着陸帯:600mx40m
方 位:11/29
(座標、標高はグーグルアースから、滑走路長さは資料から、方位は地理院から)

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この記事の資料:
防衛研究所収蔵資料「陸空-本土周辺-16飛行場記録(千島の部)第1復員局」
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千島・東雲原飛行場跡地 [├国内の空港、飛行場]

   2022/1更新(未訪問)  



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1945年(昭和20年)5月調査資料添付地図 Translation No. 65, 12 May 1945, digest of Japanese air bases. Report No. 3-d(54), USSBS Index Section 6 (国立国会図書館ウェブサイトから転載)


得撫島北部にあった日本陸軍の「東雲原飛行場」。

■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土周辺-16飛行場記録(千島の部)第1復員局」の中に、

「東雲原飛行場要図」があり、上のグーグルマップはこの要図から作図しました。

グーグルマップで見ると、作図した滑走路以外に、東側に伸びるいかにもな地割がありますが、

要図ではこれについては全く描かれていませんでした。

また要図によりますと、飛行地区には 1700x300、その中の舗装滑走路には、1100 とあり、

破線で描かれた部分(グーグルマップ黄色のシェイプ)には特に長さの記入はありませんでした。

恒風は、北西、北々西とありました。

同要図にあった情報を以下引用させていただきます。

位置
得撫島東雲原

気象
平均風速は夏季三~四米 冬季七
~八米にして冬季は暴風日数月
の半以上に達す
気温は最低零下十度内外なり

其の他
霧の発生は四~十月の間に多く
特に七、八月二十日以上に達す
積雪平均三十糎内外なり


■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」

にも同じ要図と同じ情報がありました。




     千島・東雲原飛行場跡地         
東雲原飛行場 データ
設置管理者:陸軍
種 別:陸上飛行場
所在地:得撫島東雲原(現・サハリン州 ウルプ)
座 標:46°12'21.4"N 150°30'49.5"E
標 高:45m
飛行地区:1,700mx300m
滑走路:1,000mx50m
方 位:12/30
(座標はグーグルアースから、標高、滑走路長さは要図から、方位は地理院から)

関連サイト: 
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防衛研究所収蔵資料「陸空-本土周辺-16飛行場記録(千島の部)第1復員局」
防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」


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