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■ヒコーキの雑談・リスト■  [├雑談]

2005年
空港がいっぱい (全国に空港、飛行場はいっぱいあるという話)
飛行場の跡地  (オイラの地元の飛行場跡地の話)
ボーイング王国日本(今後日本がボーイング王国になってしまうという話)
太平洋無着陸横断への挑戦(挑戦の様子を年表形式でまとめたような話)
岩手県・花巻空港(旧ターミナル運用当時
)(国道のすぐわきに空港があった話)    
3レターコード
  (3レターについての話)
飛行機の燃費節約(ヒコーキ流燃料節約術の話)
さようなら YS-11(YSについての話)

2006年
エコノミー席での背もたれ倒し(エコノミーで背もたれを倒すのはやめませんか?という話)
災害とヒコーキ (新潟中越地震とヒコーキの話)
一ヒコーキ好きの嘆き(ヒコーキマニアの自虐ネタの話)
日航機ニアミス判決(判決についての話)
ヒコーキはなぜ飛ぶか・1(空気はスゲー重いという話)
ヒコーキはなぜ飛ぶか・2(ヒコーキはスゲー軽いという話)
あなたもパイロットになれますか?(人を陥れる話)
ベルヌーイvsニュートン・1(ベルヌーイで世界中が納得しているかと思ったら大間違いという話)
ベルヌーイvsニュートン・2(ベルヌーイの疑問点の話)
ベルヌーイvsニュートン・3(それぞれの言い分の話)
乗客が全員力士だったら(それでもヒコーキは飛ぶか?という話)
大西飛行場のその後(大西さんの夢はまだまだ続いているという話)
戦闘妖精雪風・DVD(雪風カッコイイイイイ!という話)
「機長、コーヒーです」(自衛隊関係者の皆様、ゴメンなさいという話)
気をつけなくっちゃ(マスメディアのヒコーキ話には結構ツッコミどころが多いという話)
本当の幸せとは(パイロットもいろいろ大変。という話)
YS-11企画展@所沢航空発祥記念館(YSイベントの話)
鳥人間コンテスト(同コンテストについての妄想記事)
UFO(UFOの正体にするどく迫った記事・笑)
A380の翼面荷重(A380の翼面荷重を他機といろいろ比較してみた話)
ヒコーキ雲(ヒコーキ雲ができる条件の話)
羽田空港の駐車場(P1,P2)(P1,P2の利用法の話)

2007年
ぼくは航空管制官(について熱く語った話)
ぼくは航空管制官2(同上)
空港ランキング(ビューベスト5)(今まで見た中で、眺めのよい空港の話)
空港ランキング(マニア度 ベスト5)(今まで見た中でマニアックだった空港の話)
空港ランキング(家族でドライブ ベスト5)(今まで見た中でドライブにお勧めな空港の話)
ボン社事故(Q400胴体着陸関連の妄想記事)
ヒコーキ好きにとって魅力的な空港(オイラ的魅力的な空港)      
新石垣空港建設計画
(建設決定 という話)      
ホンダエアポート/飛行船
(ホンダエアポートで飛行船を見学した話)      
石垣空港の跡地利用
(地元の方の懸念の話)      
PAN AM Tシャツ
(もらって嬉しかった話)
新潟空港阿賀野川側からの撮影情報
(解放して欲しい話)     
B787・1 開発開始までの迷走
(開発までを時系列で並べてみた話)      
B787・2 開発開始
(ロールアウトまでを時系列で並べてみた話)       
4レターコードの ”とり説”(改訂版)・1
(4レターの法則についての妄想話)
4レターコードの”とり説”(改訂版)・2(4レターの法則についての妄想話・2)
那覇~下地島 運休(エアトランセがコケてしまった話)     
ブログ紹介
(すごいお方のブログ紹介の話)     
波照間路線の今後
(エアードルフィンさん、引き継いでくれるの? という話)
名古屋空港事故(F-2事故の話)      
いわて花巻空港の展示物
(気になっていたものを確認した話)       
波照間路線の今後・2
(エアードルフィンさん、ありがとう!!という話)
妄想ドライバーの日々(運転中、パイロットになりきってる人の話)
波照間路線の今後・3(RAC波照間便廃止、という話)

2008年
交通機関とエコ その1(三乗の法則のちょっとおさらいの話)
交通機関とエコ その2(まずは船にダメ出しする話)
交通機関とエコ その3(列車にダメ出しする話)
交通機関とエコ その4(ヒコーキにダメ出しする話)
交通機関とエコ その5(鉄道活用の話)
岐阜県・各務原(各務原すげー!という話)
静岡空港(開港前)
(開港前に見に行った話)
羽田空港
(鶴丸ゲットした話)
ぼくは航空管制官3(ぼく菅3 出たよ!という話)
運休、廃止(福島空港、佐渡便の話)
ふくスカ桃祭り 2008・1(カンクリさんに会った話)
ふくスカ桃祭り 2008・2(室屋さんを見た話)
新サービス?(ここはドコ?という話)
ふくスカ・1(リンゴ祭り・午前の話)
ふくスカ・2(リンゴ祭り・午後の話)
旭伸航空(見納めの話)
映画 ハッピーフライト(珍しく映画の話)

2009年
空港探索について・1(ブログの路線変更の話)
空港探索について・2(優先順位の話)
バードストライク、FOD・1(用語の薀蓄話)
バードストライク、FOD・2(エンジンに金網張れない話)
バードストライク、FOD・3(鳥を追い払う苦労話)
バードストライク、FOD・4(エンジンの話)
バードストライク、FOD・5(またエンジンの話)
バードストライク、FOD・6(安心させる話)
787情報(787進捗情報の話) 
B787・3 ロールアウト以降のつまずき (ロールアウト以降の時系列の話)
787関連 衝撃の人事発表(恒例のお騒がせ話)
B787・4 概要(787スペックなどの話) 
Hotelicopter(壮大なスケールのエイプリルフール話) 
続・Hotelicopter(なんでこんなに壮大なことしたかの話)
羽田おきてん(羽田空港の変遷の話)       
アンケートのお願い
(メーカー、機種の人気投票の話)    
B787 6月にテストフライト  か?
(見事に裏切られた話)   
アンケートの結果です
(そのまんま結果発表の話)  
戦争遺構(なんで跡地を回っているのか、の話)     
ファーストクラスの世界・1
(行きの話)    
ファーストクラスの世界・2(戻りの話)   
ファーストクラスの世界・3(38,000円!!!! の話) 
787 エンジンテスト(787のエンジンの話) 
787 中間ガントレットテスト終了(初飛行の期待が高まっていた話)    
羽田D滑走路工事
(D滑走路を見学した話)  
羽田再拡張
(あちこち工事してる話) 
787初飛行延期
(トラブル発生!!! の話)  
東武小泉線物語
(小泉線変遷の話) 
東武小泉線西小泉駅
(西小泉駅周辺の話)      
熊谷~大幡・前編
(熊谷駅から歩いてみた話)  
熊谷~大幡・後編
(続きの話)   
787 いつになったら飛ぶの?
(豚よりは速く飛んで欲しい話)      
787 新スケジュール発表される
(今度は大丈夫??? という話)      
JALのこと・1
(コストをLCCと比較してみる話)     
JALのこと・2 安全確保
(整備費以外を削って欲しい話)    
JALのこと・3 日本の空にLCC
(LCCの運賃にビックリの話)    
Amazing Jumbo Landing!
(ヒコーキ動画の話)       
北方領土の飛行場
(上から丸見えの話)       
九州へ行った話
(社長に謁見した話)    
室谷さん@会津塩川バルーンフェスティバル2009
(ご家族の会話が面白かった話)      
それがマニア・1
(マニアの心理に鋭く迫った話 かな??)    
沈まぬ太陽
(JALに頑張って欲しい話)      
それがマニア・2
(自己診断の話)    
ヒコーキ版・今年の重大ニュース(アンケートのお願い)
(そのまんま今年の重大ニュースの話)    
ヒコーキ版・来年の重大ニュース(アンケートのお願い)
(来年に何に興味ある?? の話)     
787ファーストフライト スケジュール発表
(予定通り飛んでおくれ~ という話)   
787ファーストフライト
(やっと飛んだ話)    
B787・5 初飛行までの経緯
(初飛行までを時系列に並べた話)     
ヒコーキ版・今年の重大ニュース 結果発表
(投票ありがとうございました という話)    

2010年
ヒコーキ版・今年気になるランキング(こちらもご協力ありがとうございました という話)   
佐賀空港のYS-11再び!! (またワイエスが見られるようになる。という話)    
羽田・1
(羽田空港を見学して来た話)       
羽田・2(続きの話)      
787は今年中にデリバリーできるのか?
(についてアンケートお願いの話)       
どの路線にデビューする? 787
(についてアンケートお願いの話)       
航空自由化と離島路線
(小難しい話)
鴨池飛行場(鹿児島のこういちさんからいただいた当時の貴重な情報とお写真の話)
モヒカンジェット(やっとモヒカンをゲットできた話)
ツェッペリンNT号 事業停止(飛行船の話)  
ヒコーキ二題(ヒコーキの話ふたつ)
717の話(そのまんま717の話)
787デリバリー またまた遅延(また遅れてしまった話)
LCCの話(そのまんまLCCの話)
成田空港の運用時間は何時間?(成田の運用時間は短い。という話)
羽田見学(国際線ターミナル見学の話)
ハブ空港・1 国内線ここまでの話(国内線のここまで話)
ハブ空港・2 「ハブ空港」=「大空港」?(ハブ空港の話)
「ハブ空港」・3 日本と「ハブ空港」(ハブでいろいろ妄想する話)

2011年
787デリバリー 新スケジュール発表
(2011年第3四半期(7~9月)だそうですよという話
ハブとメーカー
(787と380の話)
「オペレーション・スターシップ」(エイプリル・フールネタ)
Q:どの位燃やされる?(久々の三択クイズ)
6周年(どうもありがとうございます)
A:どの位燃やされる?(三択クイズの続き)
B787、日本初飛来決定!(そのまんまの話)
二宮忠八とライト兄弟・1(思いつくままにいろいろ書いた話)
二宮忠八とライト兄弟・2(上に同じ)
ビードル号記念飛行(帰ってきたビードル号の話)    
787とウインドウォッシャー
(ついた話)
B787・6 デリバリー開始までの経緯(シリーズ完結の話)
787就航
(おろ・おろしさんおめでとうございます。という話)
日本とダグラス旅客機(ダグラス大好き~という話)

2012年
ヒコーキの前後バランスの話
(ウエバラの話)
エンジン位置の話(意外といろいろ差が出る。という話)
HondaJet・1 年表(実は先の二つの記事は前フリだった話)
HondaJet・2 MH02(元祖HondaJetの話)
飛行場の場所を教えてくださいm(_ _)m(他力本願な話)
日本のジェットエンジン開発(エンジン開発の皆さん、頑張ってください!という話)
HondaJet・3 エンジン開発(実は前記事は前フリだった話)
翼の取り付け位置の話(いろんな事情の話)
HondaJet・4 OTWEM(「主翼上面エンジン配置」の話)
HondaJet・5 翼型(「自然層流翼型」の話)
沖縄の飛行場の変遷(沖縄にはたくさん飛行場があった話)
787の近況(大急ぎで作らないといけない話)
米国にエアバスの工場(受注競争に与える影響を心配する話)
秘匿飛行場
(本当にここだったのかしらん。という話)
HondaJet・6 機体の特徴など(シリーズ完結。という話)
787デリバリー1周年(次の1年で何機デリバリーできるかという話)
岩国錦帯橋空港(べっ、別に偶然開港前にたまたま前を通りかかっただけなんだからねっ! という話)

2013年
787運行停止
(今のうちに膿を出し切って欲しい話)
787運行停止・その2(トラブルまとめの話)
787運行停止・その3(バッテリーの話)
787運行停止・その4(大人の事情の話)
A350XWB の近況(後発の利点を最大限活かしてる話)
枕崎空港廃止(寂しい話)
神風号亜欧連絡飛行・1(出発までの話)
神風号亜欧連絡飛行・2(その後の話)
787運行再開(やっと再開した話)
"重い"787(実は重かった。という話)
飛行の中の非日常(ヒコーキが怖くなる話)
八丈島の飛行場・補足(米軍もよくやるよ。。。という話)
787デリバリー2周年(OILMANさんおめどうございます。という話)
「君子は未然に防ぎ、嫌疑の間に處らず。瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」(防空識別圏の話)

2014年
福島空港とウルトラマン(福島空港を応援する話)
とり日記(ムック本に載った話)
広島ヘリポートのレターコード(ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。という話)
ANAの787(データ拾うのにすんごい苦労した割に地味な話)
桶川飛行場の「弾薬庫」のこと(奉安殿?? という話)
内閣中央航空研究所のこと(どんな研究所?? という話)
福岡第一飛行場
(離陸待機の話)
787デリバリー 3周年(いろいろ妄想が広がった話)
MRJ・1(祝・MRJロールアウト という話)
MRJ・2(続きの話)

2015年
ヒコーキネタ(ヒコーキネタいろいろの話)
HondaJet ワールドツアー@岡南飛行場
(おろ・おろしさん ありがとうございます!! という話)
伊良部大橋開通(やっと開通したけれど…という話)
オバーの歌(不思議な歌の話)
御宿と銚子のVOR廃止(コース変更の話)  
祝! MRJ 初飛行(この先も頑張って欲しい話)   
根岸氏と水産試験場のこと(疑惑の話)   
Honda Jet デリバリー開始(\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/)   
続・根岸氏と水産試験場のこと(やっぱりそうだったっぽい話)  

2016年 
ANA、A380発注正式発表(ANAは別にA380の運航がしたい訳じゃないような気がする話)
セントレア二題(順調にすすむのかしらん。という話)  
磯子埋立地 1,500mのナゾ(いろいろ妄想した話)   
ボーイングのデリバリー数(もうすぐ500!という話)  

2017年
国交省、完全自動化旅客機導入の方針(エイプリルフールネタ)
ボーイング、自動操縦ジェット旅客機の関連技術試験実施へ(うわの空)
朝鮮強化月間開催(しますよ!という話)
韓国、北朝鮮の飛行場(済州島に行きたくなった話)
朝鮮強化月間終了(終わりましたよ!という話)
那覇空港第二滑走路(何のために造ったのか分からなくなる話)  
松本空港展望デッキ(見学には辛い時代の話)  
せとうちホールディングス(ノウハウを国内に持ち込むつもりなのかしらん。という話)  
那覇空港・1(アップまで2カ月かかったけど、結局どうすればいいか分からない話の始まり)  
那覇空港・2(更によく分からなくなる話)
那覇空港・3(ますますよく分からなくなる話)
那覇空港・4(分からないまま終わる話)  
横田空域と羽田新ルート(これもよく分からない話)  
伊丹空港の展望デッキも。。。(見学には辛い時代の話2)

2018年
羽田空港ボーディングステーション供用開始(一度利用して見たい話)
ホンダジェット(世界地図色塗りがすげー大変だった話)
ボーイングとエンブラエル提携へ(この記事が実現するには幾つも奇跡が必要な話)
MRJデリバリー前倒しなるか(ちょっといい話)  
軽井沢の飛行場について(意外といっぱいあった話) 
SkyVectorのチャートのこと(同上の話) 
中国、2035年までに空港数をほぼ倍増へ(世界の本〇みたいな話) 

2019年
A380生産終了・1(胴体の話) 
A380生産終了・2(主翼の話) 
A380生産終了・3(エンジンの話) 
A380生産終了・4(航空会社の話) 
A380生産終了・5(メーカーの話・上) 
A380生産終了・6(メーカーの話・下) 
大西洋今昔(ちゃんと大圏コースの話) 
RJTT RJAA(台風19号の話)

2021年
聖火リレーと飛行場(johokotuさんのおかげ企画) 
ブルーインパルス号デビュー!(マリオ師匠のおかげ企画) 
観測ロケットS-520-31号機 打上げ(鹿児島のこういちさんのおかげ企画) 
HondaJet 2600 Concept(出してください出してください出して) 

2022年
ロシアの旅客機問題(巻き込まれるロシア国民…な話)
三菱スペースジェット・3(MRJの続編話)
三菱スペースジェット・4(一応完結)
2タミ本館と北側サテライト結合へ(羽田はまだまだ進化する話)
TOKI AIR、ATR72-600型初号機受領(羽田バイパスのハブになって欲しい話)
大分空港ホーバークラフト運行計画(今度は軌道に乗って欲しい話) 

2023年 
747 最終引渡し(いろいろと目から鱗だった話)
スペースジェット開発中止・1(そういうものに わたしはなりたい話)
スペースジェット開発中止・2(多分航空会社とパイロットの見解の相違話) 
海南島/気球発射基地(ここから来たっぽい話) 
スペースジェット開発中止・3(いきなり飛び恥の話) 
スペースジェット開発中止・4(なんとか完結した話) 


スペースジェット開発中止・4 [├雑談]

今回の開発中止の発表を受け、

すっかり「日本の旅客機製造 \(^o^)/オワタ」ムードになってしまいましたが、

一連の2番目の記事 で書いた通り、何か「凄い目玉」さえあれば、

世界の航空会社に買って貰える可能性は残っています(残ってて欲しい)。

しかもその目玉は、GTFエンジンのようにライバル機が追従するには時間のかかるものなら、

アドバンテージを得て実績作りができて尚良しです。

そんな凄い目玉となり得るものが何かないだろうか。

というのがこの記事の主旨です。


空気抵抗大変

高速道路を時速100kmで走っているとして、

窓を開けただけでもの凄い風圧ですし、手を出したら凄そうです(良い子は以下略)。

余談ですが、以前開催された2輪レースにて、

トップでチェッカーを受けた選手が不用意に腕をガッと突き上げてしまい、

風圧で腕が持って行かれ、肩関節が大変なことになってしまうという事故があったそうです(ノ><)ノヒイィィ

この時の選手がどの程度のスピードで突き上げたのか不明ですが、

国内2輪レースでも最高速度は普通に300km/hとか出ます。

仮にこの時の速度が200km/hだったとすると、100km/hで感じる風圧の何倍になるでしょう?

「空気抵抗は速度の2乗に比例する」という法則があり、

100km/hに対して200km/hですから、速度差は2倍で、2倍の2乗ですから、

2²=4 で、4倍ということになります。

100km/hでも凄い風圧ですから、その4倍ともなれば、そりゃあ持ってかれちゃっても無理はないです。


「空気抵抗は速度の2乗に比例する」は、「燃料消費量は速度の2乗に比例する」と言い換えることができます。

例えば速度を2倍にしたいなら先程と同じく、

2²=4

で、燃料は4倍必要。

となります。

空気抵抗が4倍になると聞いても、「ふーん、そうなんだぁ(棒)」としか思わないとしても、

特に自分でガス代を払っている方からすると、「燃料が4倍」と聞くと、

「燃料4倍も使うのにたった2倍しか速くならないの? ウソでしょ??」

と思いませんか?

「2乗倍で増えていく」

これは中学で習った二次関数(y=ax²) ですね。

グラフだと、直線じゃなくてあの進むに従って急激に増加する曲線のヤツです。

と、このように速度が上がるに従い空気抵抗は2乗倍で増え、ガス代が急上昇します。

ですので、飛行機が受ける空気抵抗(燃料消費量)は、それはそれは凄いことになります。

仮に913km/h(ジャンボの巡航速度)で飛んでいるとすると、

100km/hの時に感じる風圧の83倍(9.13²)ということになります。

こんなもの凄い抵抗をかき分けて進むのですから、それに伴って燃料消費量も大変なことになります。

ジャンボが巡航時に出している推力は15~26t程度なのだそうです(燃料量等で大きく変わる)。

この時の燃料消費量は、1時間当たりおおよそですが、7.5t~13tにもなります(燃料消費率0.5kg/kg/hで計算)。

巡航時は、抗力と推力がピッタリ釣り合った状態(抗力=推力) なので、

巡航時のジャンボには抗力(空気抵抗)が15~26t程度かかっており、

これをかき分けて進むために、1時間当たり7.5t~13tの燃料を消費していることになります。

ヒコーキが如何に燃料喰いかについて、分かり易いところでは、

「ジャンボは1分間でドラム缶1本分の燃料を消費する」という説明がしばしば用いられますね。

こんなに大量の燃料をドカドカ使うのですから、

このご時世ヒコーキが「燃費極悪の乗り物」としてやり玉に挙がってしまうのもムリないです。


ゆっくり飛ぶのはどうでしょう?

先程、「燃料消費量は2乗倍で曲線的に増えてゆく」と書きました。

「燃料をもの凄く増やしても、そんなに速くならない」

ということは、逆もまた真なりで、

「燃料をもの凄く減らしても、そんなに遅くならない」

ということになります。

これは環境問題の観点で言えば、

「速度を少し減らすだけで、燃料消費(二酸化炭素の排出)をもの凄く減らせる」

ということです。


このシリーズ記事の2 でエンブラエルE-JetシリーズとMRJの巡航速度比較について書きました 

今やリージョナルジェット界の王者となった感のあるエンブラエルですが、

現在世界中で飛びまくっているエンブラエルE-Jetシリーズの巡航速度はマッハ 0.82(870 km/h)。

現在運航中のリージョナルジェットのもう一方の雄であるボンバルディアのCRJシリーズも、

最大巡航速度は(型式により多少差があるのですが)エンブラエル機とほぼ同じ。

対してMRJはマッハ0.78なのでちょっと遅く、巷ではこれが"致命的な弱点"として散々揶揄されました。

マッハ 0.82のエンブラエル、ボンバルディア機に対し、MRJはマッハ0.78なので、

その速度差は0.9512倍となります。

2乗の法則でいくと、0.9512²=0.905 となりますので、燃料消費量≒0.905倍ということです。

MRJだって、本当はライバル機と同等の巡航速度に設定しようと思えばできたはず。

そこを少し低く設定することにより、巡航時の燃費消費は10%向上した計算になります。

元々MRJは、「環境適応型高性能小型航空機研究開発」という計画から始まっており、

設計検討段階から従来機に対して「燃費20%向上」を目標としていました 

そして「2割減を実現できれば、競合には簡単に真似できない」とも。

20%の内訳は、GTFエンジンの採用(10%)、機体、空力設計(10%)としていました。

(当時の資料を見返しても、「速度を落とすことで燃費改善しよう」とする意図は見つけられませんでしたけど)

では、たった5%ではなく、もっと大胆に巡航速度を低くすると、具体的にどのくらい燃料減らせるでしょうか。

減速率 燃料
1.0 1.00
0.9 0.81
0.8 0.64
0.7 0.49
0.6 0.36
0.5 0.25


速度を半減まで0.1刻みで出してみましたが、

一例として、速度を0.7倍にすると、0.7²=0.49なので、

速度を3割減らすと、消費燃料はナント半分で済みます。

但しこのデータの見方には注意が必要で、これは飽くまで「巡航時の」燃料消費の話です。

離陸開始から巡航高度、巡航速度に達するまでは、巡航速度の速いライバル機同様燃料を大量に消費します。

ですのでこの表の数字は、

「速度を3割減らすと搭載燃料が半分で済む」とか、

「速度を3割減らすとジェットエンジンも推力半分の小型で済む」とか、

そういうことではありません。

じゃあ、1回のフライト全体で見た時、巡航速度を下げることで得られる効果って、どの程度なんでしょうか?

これは、飛行距離によって巡航する割合が様々なので一概には言えないのですが、

航空新聞社2022.02.04「離陸時が最も多くの燃料を消費する」は迷信?

と題する記事がありました 

有料記事(100円。興味のある方は直接記事をご覧ください)なので、

拙記事の主旨に沿った部分だけご紹介させて頂きます。




記事では、2022年1月28日、ロンドン・ヒースロー空港を離陸し、

各目的地に向かう10便(距離も機材も様々)について、

離陸、上昇、巡航等の各フェーズで消費した燃料の割合を出してました。

特に「巡行時」に消費した燃料の割合について、結果は以下の通りでした。


行 先 使用機材 距 離 時 間 巡航時に消費した燃料の割合
シャルル・ド・ゴール空港 A319 348km 1時間20分 62%
エディンバラ空港 記載無し  534km 記載無し 68%
ドバイ国際空港 記載無し 5,500km 記載無し 95%
香港国際空港 A350 9,642km 12時間 96%

なんかオイラ、「巡航高度に達したところで搭載燃料の半分を消費」

とか聞いたことあるような気がするんですけど、

たった348km(羽田から直線距離で琵琶湖の辺り)の短距離路線でも、

巡航時の使用燃料は全体の62%に達するんですね。

前述の通り、巡航速度を3割落とすと、巡航時の使用燃料は半分になるのでした。

巡航時の使用燃料が全体の62%を占めるということは、それ以外(離陸、上昇、降下等)は38%。

で、巡航速度を3割落とすと、巡航時に使用される燃料(62%)が半分になりますので、

62÷2+38=69 で、

巡航速度を3割落とすと、1フライト全体の使用燃料は3割減となる計算に。

これなら短距離路線でも巡航速度を落とす価値はあるんじゃないでしょうか。


表の下2つの項目はドバイ行きと香港行きですが、

5,500kmで既に巡航時の割合が95%に達するんですね。

こんなに巡航時に消費する燃料の割合が大きくなると、

例えばドバイ行きの場合、95÷2+5=52.5 で、

速度を三割落とすと、トータルで見ても使用燃料は限りなく半分に近くなります。


上の方で、

「ジャンボが巡航時に出している推力は15~26t程度なのだそうです(燃料量等で大きく変わる)。」

「1時間当たり7.5t~13tの燃料を消費」

と書きました。

こんなに必要推力に幅があるのは、特に超長距離線の場合、自重とほぼ同じ重さの燃料を搭載しており、

燃料を消費するにつれて、どんどん軽くなるからです。

どの位燃料が残っているかでこれだけ必要推力に差が出ますから、

「巡航速度を3割落とすから、搭載燃料は半分強で済む」のであれば、

その機体はかなり軽くなりますから、離陸、上昇、加速に使う燃料が少なくて済みますし、

巡航に達してからの必要推力もかなり少なくなるはず。

実際の燃料消費量は、2乗倍で計算したのよりかなり少なくなるはずです。


ということで、巡航速度を落とすとかなり燃料節約になる訳ですが、

速度落とすとその分増えてしまうのが時間です。

では、速度を遅くすると、所要時間はどの程度延びるでしょうか。

仮に、エンブラエル機が巡航速度(870 km/h)で500kmの距離を飛行したとすると、所要時間は34分。

上の刻みで巡航速度を低くすると、速度、所要時間はそれぞれ以下の通りとなります。


減速率 速度 所要時間 増加
1.0 870km/h 34分 +0分
0.9 783km/h 38分 +4分
0.8 696km/h 43分 +9分
0.7 609km/h 49分 +15分
0.6 522km/h 57分 +23分
0.5 435km/h 1時間9分 +35分

この表は、仮に巡航速度で500km飛行する路線があったとして、

例えばエンブラエル機の0.7倍の速度に落すと、15分余計にかかりますよ。

ということです。


また、長距離路線についてなのですが、以前読んだ元パイロットの本の中で、

「飛行時間が11時間とすると、そのうち10時間が巡航である。」

とありました。

この場合、巡航速度を0.7倍に落とすと、全体の飛行時間は3時間増えて11時間→14時間になります。

その代わり、上の航空新聞社記事にある通り、消費燃料はほぼ半分になります。

短距離路線なら速度を3割落としても、せいぜい数十分程度でそこまで飛行時間は増えないですが、

長距離路線だと、時間の延びが1時間単位で増えていくのがやっぱりキツイですね。

成田~ニューヨーク便だと、往路12時間45分、復路14時間30分(Google調べ)。

仮に巡航速度を半減させると、飛行時間はほぼ倍になります。

復路だと、28時間という計算に!!(XДX)

オイラなら個室が欲しくなります。


巡航速度は簡単に落とせない

「巡航速度落せば燃費が良くなるんなら、試しにサッサと落してみればいいじゃん」

と思うかもしれませんが、飛行機の場合は簡単に落とせない事情があります。

飛行機は翼で揚力を発生させて飛んでいる訳ですが、

揚力の大きさは、速度と主翼の迎え角により変化します。

そのため、状況に応じて主翼の迎え角(機首上げ角)を調整します。

但し、機首上げ角が僅かでも増えると、抗力がグンと増えてしまいます。

そのため、旅客機設計の際には先ず巡航速度をどの程度にするか決め、

巡航速度付近で飛んでいる時に、最も燃費効率がいい感じな姿勢になるようにしています。

そのおかげで巡航時、おおよそ1.5~3°程度の範囲内で機首上げすれば済むようになっています。

先程、2乗の法則を持ち出して、「速度を3割落とすと燃料半分で済む」と書きました。

では巡航時、メーカーの定めた巡航速度よりも速度を3割落とすとどうなるでしょう?

速度が落ちた分揚力が減少しますから、それを補うため、機首上げ角を増やしてやる必要があります。

そうすると抗力がグンと増えてしまい、エンジン出力を余計に増やさないといけなくなりますから、

「燃料半分」どころか、燃費は却って悪化します。

短距離路線を飛ぶ時は巡航速度を3割落として、長距離路線飛ぶ時は標準の巡航速度で行こう。

なんて器用なマネは出来ません。

車やバイクとは違うんですね。

そんな訳で、巡航速度を3割落として燃料半分の飛行をしようと思ったら、

最初から巡航速度を3割落とした設計の飛行機を造る必要があります。


巡航速度を落とせない大人の事情

ここまでは物理的な観点で「巡航速度落とすとこんなに燃料節約できますよ」と書きましたが、

実は巡航速度を落として燃料を節約する方法は、航空会社にとって必ずしもプラスぱかりとは限りません。

現在は巡航速度の僅かな増減により消費燃料量がどう変化するのか、簡単にわかるようになっています。

理想的な巡航速度で飛べば、当然燃料費を低く抑えられるのですが、

飛行時間が延びれば、人件費、機材費、整備費、保険料等のコストが増えます。

前述の通り、飛行機の設計に当たって先ずは巡航速度を設定し、それに従って機体をデザインするのですが、

メーカーの設定した巡航速度は飽くまでおおよその目安であり、

その時の気象環境、重量等により、理想的な巡航速度は刻々変化します。

詳しい説明は省きますが、「理想的な巡航速度」を1%程度外しても、燃費はそう大きくは変化しません。

そのため、燃料費が多少増えてしまうのを承知の上で、敢えて速度を僅かに上げ、

トータルの運航コストを抑える等、

全体の兼ね合いを見ながら速度を決めるのだそうです。

いろいろ考えてるんですね(詳しくは【コスト・インデックス】【経済巡航】でググってみてください)。


また、他社と競合する路線の場合、

飛行時間の長い短いが集客に大きく影響するかもしれません。

巡航速度をどの程度に設定するのかについてパイロットの手記でよく目にするのは、

「競合路線を飛ぶ他社より遅くては意味がない。そこで速度をちょいと上げ~」

的な言葉です。

「A社よりB社のが速いから」とお客が競合他社に流れたら元も子もないですからね。


現在は様々な条件から、こんなに繊細な速度の増減をしているのですが、

この記事でオイラが考えているのは、数十%一気に落とす話です。

分かり易いところでは例えば、巡航速度をガクッと落したとすると、

飛行機の回転が悪くなってしまい(これまで1日に3往復できていたのが2往復に減るとか)、

1日で運べる乗客、貨物がガクッと減ってしまいます。

これまでのペイロード量を維持するには、旅客機を増やして対応しなければならず、

そうなると整備費用が増えますし、ヒコーキを飛ばすパイロットやCAさんだって増やす必要があります。


また、速度を落とすことによる燃料代の節約効果が、航空会社にとっては微妙というのもあります。

前述の通り、巡航速度を3割落とすと消費燃料は少なくとも3割~5割程度減らせるはず。

運行費に占める燃料費は、オイラが調べた範囲では、20%台~30%台でした。

現在の世界情勢からすると、燃料費の割合は以前より相当高くなっているはずですが、

ここでは仮に35%とします。

で、この35%の燃料費が3割~5割程度減ったとすると、

運航費全体では、10%~17%の減少となります。

「速いは正義」が大勢の現状では特に長距離路線の場合、

「他社さんと比べて飛行時間が長いですけど、その分お安くしますから~」

という売り方をしないと、お客も集まらないんじゃないでしょうか。

要するに、速度を落として燃料費を節約する方法は、浮いた分の燃料費を航空会社の丸儲けにし難いどころか、

集客にどんな影響があるのかギャンブルです。

それに加えて、先程の人件費、機材費、整備費、保険料等のコストは増えます。


燃料を持続可能なものにしたり、不思議な形の飛行機を造ろうとしたり、

二酸化炭素の排出を減らすため、様々な取り組みはあるものの、

「速度を大幅に落とす」という安易な方法について(意識高い欧州でさえ)、とんとお目にかからないのは、

恐らくこうした諸々の事情があるからなんじゃないでしょうか。


このように、巡航速度をどの程度に設定するか、ひいては機材の選定に至るまで、

「航空会社にとってのトータルコスト」が重要な価値観になっているのですが、

欧州を中心にほんの数年で航空会社を取り巻く価値観は激変しました。

このシリーズの3 で触れましたが、政府が短距離路線の運航を許さず、

ヒコーキならほんの1時間35分~1時間50分程度の移動に、

16~17時間もかかる列車移動を厭わない乗客の急増。

全ては、「飛行機は大量の二酸化炭素を排出する(と環境団体に見なされている)」のが原因です。

「安易な飛行機の利用を許さない」という風潮は、今後も世界中に広まっていくと思います。

「巡航速度を大幅に落としたヒコーキ」は、航空会社にとって金銭的なメリットはあまりないのですが、

二酸化炭素の排出は大幅に減らせます。


移動時間はなるべく短い方が良い。
少しでも早く目的地に着きたい。

というのは、時代を問わず誰にとっても正直な気持ちと思います(一部の特殊な人たちを除く)。

オイラとしましては、超音速旅客機が飛び回る世界を諦めてません。

但しそれは、今後技術が進み、後ろめたさを感じない程度の性能が実現できなければ、もう許されないでしょう。

それが実現するまでの間は、「ゆっくり飛ぶヒコーキ」という選択肢があってもいいのではないかと思います。


(もう続かない)

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スペースジェット開発中止・3 [├雑談]



飛び恥

「環境負荷の大きい飛行機の利用は恥ずべきことだ」
「短距離の移動は飛行機ではなく列車の利用を促進すべし」

数年前から耳にするようになった「飛び恥」。

オイラは、「一時期グ〇ダさんがギャーギャー騒いでたけど、一般的にはまだ標語レベルっしょ」と思ってました。

ところがです。


フランス政府は、国民から150人を選出して「気候市民会議」を発足。

「気候市民会議」は気候変動対策として149の施策を政府に提案。

その提案の中に、「列車を利用して4時間以内で移動できる短距離区間での航空路線の運航は禁止する」

というものが含まれていました(@Д@)

この提言を受けたフランス政府は「4時間以内」→「2時間半以内」に修正、経由便の部分を追加し、

「列車を利用して2時間半以内で移動ができる短距離区間での航空路線の運航は、経由便など一部を除いて禁止する」

として、2021年8月フランス環境法成立。

こうして、2時間半以内に列車移動できる航空路線は、フランス国内では原則禁止となりました。

フランスの運輸相は「フランスがこの分野の先駆者であることを誇りに思う」とご満悦。

当然これには航空業界が猛反発。

欧州委に提訴したんですが、

欧州委は2022年12月、パリ・オルリ空港とナント、リヨン、ボルドー、

それからリヨン空港とマルセイユの運航を禁止するフランスの措置を承認しました(上のマップ)。

フランス政府は、今回承認を受けた路線について、3年後に「成功」と判断されれば、

さらに多くの短距離路線をビシバシ廃止する方針とのことです。

そしてこの「脱・短距離航空路線」の動きはフランスのみならず、欧州全体に広がりを見せています。

例えば、




ストックホルム~ベルリン間には航空路線があります。

飛行時間は1時間35分~1時間50分程度。

料金は10,000円~16,000円くらい(2023年3月時点)。

同区間には夜行列車の運行があります 

運行スケジュール:
ストックホルム中央駅 16:23発→ベルリン中央駅 8:47着 (所要時間:16時間24分)
ベルリン中央駅 20:57発→ストックホルム中央駅 14:10着 (所要時間:17時間13分)
3月~11月初旬まで、土曜以外の毎日運行

料金は、
スタンダードシート:約7,000円~
リクライニングシート:10,600円~

となっています(2023年3月時点。寝台もあるけどよく分かんない)。

実は昨今の「飛び恥」の影響から、この夜行列車の乗客数はこれまでの6倍に跳ね上がっており、

急増する需要に対応するため、供給を増やす計画なのだそうです。

同区間の飛行機も夜行列車も、チケットの買い方、買う時期により金額が変わるので、

どっちが高いのか安いのか、単純な比較は難しいんですが、2023年3月時点で調べた限りでは、

列車だと座りっぱでもヒコーキより「そこそこ」安い程度。

確実に車内で二食ですし、流れゆく夜景を眺めていたら、いつの間にかお酒だって飲んじゃうかもしれません。

寝台を利用したら、チケット代だけでヒコーキと同等かそれ以上になるんじゃないでしょうか。

オイラは一応航空ファンの端くれなんですが、己の趣味は置いといたとしても、

座りっぱで16時間はちょっと耐えられるか心配です(主に体力的に)。

ヒコーキならたった1時間35分~1時間50分で行けるのに、「地球環境のために」という意識から、

16~17時間もかかり、料金的なメリットも(それほど)ない夜行列車を選ぶって、凄くないですか?


Googleで【〇〇空港_××空港】と検索すると、トップに各便の情報が並びます。

「フライトを表示→」で更に詳しく見ると、

各便ごとに排出する二酸化炭素の重さ、その便が排出する二酸化炭素が多いとか少ないとか、

パーセンテージも表示されます。

この表示は欧州路線でも日本の国内線でも同様なんですが、

きっと環境意識の高い欧州では、飛行機を利用するにしても、チケット代や時間だけでなく、

「二酸化炭素排出量」もどの航空会社の便を利用するかの重要な要素になっているんでしょうね。

こうした「地球環境のために飛行機止めて列車を使おう」という動きは他にも多々あり、

手ごたえを掴んだ欧州では、短距離航空路線を廃止するために新たな高速鉄道路線の整備を進めています。

という訳で「飛び恥」、標語レベルどころか、既に航空路線を駆逐し始めてました(XДX)


フランスの消費者団体によれば、飛行機は電車と比較して乗客1人当たり平均で77倍のCO₂を排出している。

としています。

ヒコーキは離陸、上昇時にもの凄い燃料を喰い、その分二酸化炭素を排出しますから、

短距離路線はかなり効率悪いです(東京~大阪だと水平飛行時間は5分~10分程度らしい)。

成層圏に二酸化炭素を排出するのも非常によろしくないらしいです。

ですので、「長距離の移動まで列車だと時間がかかり過ぎて厳しい」という面だけでなく、

環境面からも、短距離航空路線に狙いを定めて「廃止すべし」という動きになっているのは、

妥当な考えと思います。


一方、

「世界規模で見ると、人間の排出するCO₂のうち、航空機が占めるのはたった2%に過ぎない。

その中の短距離路線だけ廃止したところで、効果はほとんどない」

というのが航空業界側の言い分です。

「全体から見れば大したことない」というこの論法、

「小さなことからコツコツと」
「出来ることから始めよう」

を信条とする環境意識の高い方々の琴線に触れることはないでしょう。

二酸化炭素削減について、「どこから削減しようか」となった時、

飛行機が真っ先にやり玉にあがってしまうのは、仕方のないことだと思います。


もちろん航空業界だってただ手をこまねいている訳ではありません。

目立つ所では、持続可能な航空燃料(SAF)の導入、燃費2割向上を目指す全翼機の開発計画等ありますが、

SAFは従来の燃料と比較して非常に高価(2~10倍)、原料調達で既に争奪戦になる等問題山積です。


(続きます)


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海南島/気球発射基地 [├雑談]



位置/説明は「日テレNEWS バンキシャ! 2023/2/20」から 

グーグルアース画像取得日:2016/2/29 で、発射台に白い気球が繋留している様子が閲覧できます。

18°56'22.23" N 110°28'23.26" E






他サイト様で見つけた内モンゴル自治区の気球発射基地(と思われるもの)。

緯度は函館と同じ。


もしかして日本に飛んできたのは、ここからなのかしらん。


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スペースジェット開発中止・2 [├雑談]

「客室快適性」と「燃費性能」

この記事をアップした時点(2023年2月21日)で、

三菱の公式サイトには今でも三菱航空機/スペースジェットの紹介ページがあり、そこでは、

「Mitsubishi SpaceJetは最高レベルの客室快適性と最高レベルの運航経済性の両方を実現する機体であり」

とあります 


(2023/5/14追記:4月25日にサイト閉鎖されました)

「客室快適性」(ローンチカスタマーのAMAから「戦闘機作ってるんじゃないんだぞ」

とかいろいろ言われつつだったようですけど)として具体的には、

座り心地の良いシート、客室の高さが挙げられます(客室内最大高さはE-Jetより4.5cm高い)。

「燃費性能」としては、

最新の空力設計と共に、圧倒的な低音、低燃費性能を謳ったPWの新開発エンジン(GTF)

を世界に先駆けて採用しました。

そして燃費性能に関して、三菱はこれだけで満足しませんでした。


最大巡航高度

エンブラエルのリージョナルジェット:E-Jetファミリーの最大巡航高度は41,000ft。

対してMRJは39,000ftと、MRJの方が2,000ft低く設定されていて、

これを「MRJは劣っている」とする意見があります。

実際の運航では、乱気流を避けるためにより高い高度として41,000ftを選択する場面が少なくなく、

この高度まで上がれないMRJは快適性の面で不利である。というのがその理由です。

じゃあMRJもエンブラエル機と同等か、もっと高い巡航高度を設定すれば良かったじゃん。

と思ってしまいますが、そもそも旅客機の最大巡航高度って、どうやって決まるのでしょう?

幾つか要素があるのですが、その中の一つに「どの程度の圧力差に耐えられるか」があります。

上空にいくほど空気が薄くなるため、機内に与圧をかけていく訳ですが、

航空パニック映画の定番シーンとしてよく描写されるように、機内にはもの凄い差圧が生じます。

例えばジャンボの場合、「1㎡当たり約6.2tまで耐えられる」という機体強度で設計されており、

この約6.2tという機体強度上の数値から、「最大巡航高度は45,100ft」と定められています。

このように、機体強度をどの程度に設定するかは最大巡航高度に大きく影響します。

最大巡航高度を上げるには機体強度を上げなければならず、機体強度を上げるごとに機体重量が増加し、

当然の結果として燃費が悪化します。

ですからMRJの巡航高度が2,000ft低く設定されているという数字だけ見れば、

一見エンブラエル機より「劣っている」ことになるのですが、

燃費性能の観点では、最大巡航高度が低い→その分機体を軽く設計できる→燃費性能の優れた機体

という別の見方もある訳です。

同様に、エンブラエル機の巡航速度がマッハ0.82であるのに対し、MRJはマッハ0.78です。

これもMRJの「劣っている」点とする意見があるのですが、

巡航速度を低く設定すると、それだけ燃費性能は向上します(これは次の記事で書きます)。

このように、高度や速度の数字だけ持ってきて、どっちが「優れている」とか「劣っている」

とか言う単純な話ではなく、結局のところ、「高度をとるか燃費をとるか」、

若しくは「速度をとるか燃費をとるか」というトレードオフというか、バランスの問題になるのだと思います。

仮に巡航高度でその機の優劣が決まるのだとしたら、

45,100ftまで上がれるジャンボの方が41,000ftまでしか上がれないエンブラエル機よりずっと優れている。

ということになります。

エンブラエルとしては、リージョナルジェット機の実際の運航とコスト等様々な要素を考慮して、

「このクラスは41,000ftで十分」としたのだと思います。


エンブラエルのE-Jetシリーズは2002年に初飛行し、この時点で巡航速度はマッハ0.82でした。

MRJの開発が本格化したのは2008年でしたから、競合機の速度は当然分かっています。

これから機体設計を開始する三菱としては、

E-Jetと同等か、それ以上の巡航高度/速度に設定することもできたはず。

そこを敢えて若干落とし、燃費性能に振ったのであれば、三菱は相当トガったことしたと思いますし、

「燃費性能の徹底」という設計思想に沿ったものと言えます。


航空会社の選択

世界の航空会社が次期リージョナルジェット機の購入を検討する際、

当然同クラスの競合機の様々なスペックを比較検討します。

MRJを導入するかどうか考慮した時点で、エンブラエル機の方がより高く、早く飛べるのは当然知っています。

巡航速度が競合機と比較して遅いということは、同一路線に競合機も投入されている場合、

時刻表で不利に表示されるケースもあるはず。

乗客の側からすると、「A社よりB社の方が早いみたいだから、B社で行こう」となるかも。

実際に運航が始まれば、「エンブラエル機を先に行かせるから、高度上げるのはちょっと待ってて」

なんて管制官から言われちゃうケースだってあるかもしれません。

航空会社としては、速度や高度が低いことのデメリットと、運航コストを天秤にかけ、

慎重に考慮することになります。

では、航空会社の出した結論はどうだったでしょうか。


MRJの残した教訓

ANAがMRJのローンチカスタマーとなったのが2008年3月。

それから約6年半後の2014年8月、JALの発注でMRJの受注数は407機となりました。

この受注ペースは過去に例のないものだったそうです。


ところが、エンブラエル社がMRJと同じGTFエンジンを採用したE2(E-JETの改良版)を発表するや、

E2は僅か1年余りでなんと400機超の受注を得ました。


この2つの出来事は、旅客機を買って貰うには信頼と実績が何より大事であることと、

実績がないのを補って余りある性能差があれば、互角以上の勝負は可能であることを示しました。

そんな訳で、MRJが残した教訓とは要するに、

「日本の旅客機をたくさん買って貰うには、何か凄い目玉がないとダメ」ということになるのではないかと。

将来、国内のどこかのメーカーが「国産旅客機を作るぞ!!」と決断した時、何の実績もないところに加えて、

「15年がかりで型式証明すら」というイメージまでつきまとうため、セールス的にはMRJ以上に苦戦するはずです。

それでも、「何か凄い目玉」があれば、勝負できるはず。

いえ、どうかそうであって下さい(希望)。


話は冒頭に戻りますが、MRJが二大看板としてウリにしていた「客室快適性」と「燃費性能」、

これは航空会社への訴求ポイントとしてど真ん中です。

素人のオイラが改めて記事にするまでもなく、三菱は「凄い目玉がないとダメ」であると重々承知しており、

だからこそ特に「燃費性能」に関して、とことん突き詰めたんでしょうね。

果たしてMRJは「劣っている」のか、それとも「燃費に優れている」のか。

そしてそのさじ加減は正しかったのか。

受注数はその一つの解答と思います。

「巡航高度」と「巡航速度」でどれだけMRJを貶める意見があろうとも、

過去に例のないペースで航空会社の支持を集めたという事実は、

三菱の設計思想のバランスが決して間違っていなかった証と言えるのではないでしょうか。


(続きます)

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