第一硫黄島航空基地(千鳥/下の飛行場)跡地 [├国内の空港、飛行場]
(訪問不可) 2021/11更新
撮影年月日1968/11/21(昭43)(KT685YZ C2 2)■
出典：国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成) 
測量年1968(昭43)(5000国土基本図 14-OC-52 500014硫黄島3_A)■ (滑走路位置に「千島飛行場跡」とあり)
出典：国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成)
前記事の父島の南南西約270kmにある東京都小笠原村硫黄島。
一般人の立ち入りが制限されている島です。
昭和8年に戦闘機用飛行場(南北800m×200m)を仮設したのが始まりで、
以後逐次増強し、終戦時には第一から第三まで、3つの飛行場がありました。
この記事では、島の南にあった「第一硫黄島航空基地」について取り上げます。
先頭のグーグルマップは「昭和19年６月29日 水路部調製」の縮尺１万分の１硫黄島全図」(下記リンク参照)
から作図させていただきました。
後の記事で書きますが、この「硫黄島全図」が作成されてからの80年近くの間に島の輪郭がかなり変化したため、
精度は低いです。
ご了承くださいませ。
「第一硫黄島航空基地」という名称の他、 千鳥ケ原にあったため「千鳥飛行場」と呼ばれ、
坂井三郎氏の本等で「下の飛行場」とも記されています。
■防衛研究所収蔵資料「海軍航空基地現状表 内地之部 横須賀鎮守府所管航空基地現状表(昭和二十年八月調)」
の中で、当飛行場について一部次のように記載がありました。
基地名:第一硫黄島 建設年:1944 飛行場長x幅 米:1500x80 2000x100 800x80舗装 主要機隊数:中型2.0 主任務:作戦
1,500mと2,000mの大型機用V字滑走路に短い戦闘機用滑走路で構成されており、
「硫黄島には3つの飛行場がある」と書きましたが、戦時中は硫黄島メインの飛行場でした。
本土から物資輸送のため定期的に大型機が来ました。
内地からここまで1,200km。一式陸攻で4時間位なのだそうです。
沿革にまとめましたが、昭和20年2月に飛行場が制圧され、なんと翌月には米軍に使用されています。
硫黄島が返還されたのはそれから20年以上が経ってからのことで、
上に貼った航空写真と地図は、返還された年のものです。
滑走路は既に溶けかかり、地図には「千鳥飛行場跡」とあります。
一方、同年の航空写真と地図で「第二硫黄島航空基地」の位置を比較してみるとその差は歴然で、
立派な舗装滑走路には現代に準ずるペイントが施され、諸施設が幾つも存在しています。
戦後米軍は「第一」を放棄し、「第二」を整備拡張してメインとし、現在に至っているようです。
東京都・第一硫黄島航空基地跡地
設置管理者：旧海軍
種 別：軍用飛行場
所在地：東京都小笠原村硫黄島千鳥ケ原
座 標：Ｎ24°46′10″Ｅ141°18′15″
標 高:82m
滑走路:1,500mx80m(18/36)、2,000x100m(05/23)、800mx80m(11/29)
(座標、標高、方位、滑走路長はグーグルアースから)
沿革
1933年 海軍､戦闘機用飛行場(南北800m×200m)を仮設、以後逐次増強
1937年 完成
1945年02月 米軍に飛行場制圧され、翌月から使用される
1968年06月 返還。海上自衛隊硫黄島航空基地分遣隊発足
関連サイト：
軍令部作成縮尺１万分の１の硫黄島全図■
Wiki/硫黄島の戦い■ (米軍作成の地図)
この記事の資料:
防衛研究所収蔵資料「海軍航空基地現状表 内地之部 横須賀鎮守府所管航空基地現状表(昭和二十年八月調)」
「21世紀へ伝える航空ストーリー 戦前戦後の飛行場・空港総ざらえ」
本土をなんとしても守らないといけないと、命を投げ打って硫黄島で玉砕した日本軍人に敬意を表します。
戦争が好きという訳ではありません。しかし当時どうしようもない状況、逃げる事のできない状況の中、自分ならどうすることが出来るのか・・・・・同じことをするかもしれないです。
by 鹿児島のこういち (2014-07-28 18:36)
■鹿児島のこういちさん
あの方々が今の日本を見たらどんな感想を持つだろう。
記事を作りながら考えさせられました。
by とり (2014-07-29 07:28)