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雲雀ヶ丘飛行場跡地 [├国内の空港、飛行場]

    2013年6月、2023年7月訪問 2023/7更新  


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1/50000「苫小牧」昭和10年修正「今昔マップ on the web」より作成

苫小牧市大成町。

かつてこの周辺に「雲雀ヶ丘飛行場」がありました。

■「蝦夷古地図 地図で見る苫小牧の歴史 苫小牧市」という史料が地元図書館にあり、

この史料に添付されている比較的最近の地図上に「ひばりヶ丘飛行場」という文字が乗っかっていました。

上に貼った「今昔マップ」は、飛行場が建設された昭和2年から8年後のものです。

先頭のグーグルマップは、

「ひばりヶ丘飛行場」という文字の位置と、「今昔マップ」の空白地を比較して、

「おおよそこんな感じかも」という範囲で作図しました。

飛行場の大きさが不明なため、飽くまで「この辺にあった」という程度のものですので、ご了承くださいませ。

■苫小牧市史下1187pに「雲雀ヶ丘飛行場」という項目がありました。以下抜粋させて頂きます。

 苫小牧に正式な飛行場ができたのは、昭和二年 泉田秀雄が本町に飛行機を持ってきて北海道航空事業研究所を設立し、
現在の西高校付近に「雲雀ヶ丘」という飛行場を作ったのが最初であった。この雲雀ヶ丘飛行場は、当時苫小牧で土木建設業をしていた石橋組が、三,〇〇〇円で飛行場の整地と格納庫、搭乗員の休息室などを建てたものであった。もともと雲雀ヶ丘飛行場付近はやや平らであり、湿気の少ない土地だったので飛行場にむいていた。そして、付近の草原には無数のひばりがたくさん巣をつくっていたところから、この名前がつけられたものであった。

 この飛行場のできる前には、旭町にあった競馬場に二、三度飛行機が離着陸しているが、雲雀ヶ丘飛行場は一般町民を対象にしての遊覧飛行という営業を目的につくられた特色があった。雲雀ヶ丘飛行場での処女飛行は昭和二年六月十六日で、当時の様子を新聞は次のように報道していた。
 
「定刻午前十時、先づ青山操縦士は泉田氏と共に、機上の人となり、万人歓呼の裡に苫小牧市街上空に向かって、訪問飛行をなし、『郷土最初の飛行に当たり遥に上空より敬意を表す、併て諸彦の御後援を希ふ』の宣伝ビラを散布し、鮮やかにも二十一分間を縦横に快翔して着陸す。次で主催として泉田氏の開会の挨拶と今日に至れる経過の報告あり、之に対し町を代表して鈴木町長の祝辞…」

 このように雲雀ヶ丘飛行場での遊覧飛行ははなばなしいスタートを切った。しかしながら、当時の金額でわずか三、四分程度の飛行が五円、白老あたりまでの長距離飛行になると一〇円ということで、町の有志や王子などの幹部社員など五、六人が乗っただけで、ほとんど利用者がなかった。遊覧飛行という営業であったが、採算は全くとれず、給料をもらえない操縦士はいつしか姿を消し、飛行機を動かす者がいなくなり、この飛行機は格納庫に眠ったままとなった。

 もちろん、雲雀ヶ丘飛行場工事を請け負った石橋組も三,〇〇〇円をもらえず、飛行場と飛行機を差し押さえようとしたが、この飛行機は梨本宮殿下の所有であることがわかり、これもできず、木製部分の多い当時の飛行機はくさりだし、飛行場も荒れ放題となった。なお、この飛行機のプロペラはその後小学校に寄贈された。

 

史料からは飛行場の使用目的が「一般町民を対象にしての遊覧飛行」のみに絞っているように読み取れます。

とても珍しいですね。

当時は定期便の申請はそう簡単に下りなかったのでしょうが、空中撮影、宣伝飛行、貸切飛行、飛行学校等、

活用できる方法をいろいろ探し出せば良かったのに。などと思ってしまうのですが。。。

文中に出てくる「白老」は隣町で、雲雀ヶ丘飛行場~白老町中心部までは約20kmなのですが、

当時はこれが「長距離飛行」だったのですね ^^;

料金は10円なのですが、「昭和2年の月極新聞料金は1円」なのだそうです。

新聞1月3,000円とすると、当時の10円は3万円位でしょうか。

確かに高いですが、5,6人しか利用者がいないとは非常に寂しいことです。

また仮にこの換算が妥当だとすると、建設会社の請負金額は900万円になります。

規模は不明なのですが、別資料ではこの飛行場は転圧式だったのだそうで、

整地と格納庫、搭乗員の休息室などの費用が900万円というのは、オイラは相場を知らないのですがどうなんでしょうか。

いずれにせよ、華々しい開場式だったのに早々に使われなくなってしまったとは残念です。

別資料によりますと、開場した同じ年に閉鎖したと記されています。


(2023年7月撮影)

DSC_1127_00001.jpg

赤マーカー地点。

当時はヒコーキの飛ぶ更地でしたが、今はこんな感じ。


      北海道・雲雀ヶ丘飛行場跡地      

雲雀ヶ丘飛行場 データ

設置管理者:北海道航空事業研究所・島田秀雄氏
種 別:遊覧飛行用飛行場
所在地:北海道苫小牧市大成町
座 標:42°37'40.3"N 141°34'36.8"E
標 高:7m
(座標、標高はグーグルアースから)

沿革
1927年 泉田氏、北海道航空事業研究所を設立、雲雀ヶ丘飛行場建設
     6月16日 初飛行

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この記事の資料:
蝦夷古地図 地図で見る苫小牧の歴史 苫小牧市
苫小牧市史下


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