広尾(小紋別、豊似)飛行場跡地 [├国内の空港、飛行場]
2013年6月、2023年6月訪問 2023/7更新
撮影年月日1944/08/17(915 C5 23)■
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成)
広尾郡広尾町にあった旧海軍の「広尾(小紋別、豊似)飛行場」。
出発前にネットで情報として得ていたのは、先頭のグーグルマップ赤マーカー地点に飛行場跡を示す杭があること、
杭の所から海岸に下りると、トーチカの残骸が点在すること、飛行場建設の際、国道336号線の一部が利用されたこと、
どこかにコンクリート製の小屋があることのみで、具体的にドコが飛行場なのかは不明でした。
・赤マーカー地点
道道1037号線の脇に杭発見。
すぐそこにあるのに、間には大人が隠れてしまうほどの深さの水路があり難儀しました。
史跡 広尾航空機不時着場跡(全文) 昭和初期に航空機の急速な進歩発達により、旧日本海軍は、航空機基地整備に全力を投入する。昭和五年大湊(樺山)に、同八年根室に不時着場が完成し、同九年ここ広尾飛行場が敷地二四〇町歩、整備敷地八五町歩で、北東から南西へと北西から南東への、それぞれ千メートルの滑走路が三角形を形作っていて、燃料庫が一棟付属していた。工事は昭和九年六月起工同年十一月竣工した。工事施工は菅原組。(資料提供 松本尚志氏) 平成十八年十一月建立 広尾町郷土研究会 広尾町教育委員会
当飛行場について非常に貴重な情報満載ですね。
・滑走路は北東から南西と、北西から南東
・それぞれ千メートルの滑走路
・2本の滑走路が三角形を形作っている
2本の滑走路の方向が明記してあり、その2つで三角形を形作っている訳ですから、
滑走路の配置は、「への字」か、「逆への字」になるはずです。
実はこの周辺、終戦1年前の1944年8月と10月に旧陸軍が航空写真をたくさん撮っています。
当飛行場は1934年竣工ですから、竣工から10年後の撮影ということになります。
で、埼玉の自宅に戻ってから、杭に記されていた情報を元に改めて航空写真を調べたところ、
それらしい地割を発見しました(上に貼った航空写真)。
この三角が飛行場跡地とすると、
・滑走路は北東から南西と、北西から南東
・それぞれ千メートルの滑走路
・2本の滑走路が三角形を形作っている
という条件をキチンと満たしています。
作図していて気が付いたのですが、飛行場敷地の地割が今でも結構残っていました。
当飛行場の正確な位置については今のところ、少なくともネット上に資料が一切ないため、
この作図が正しいのかどうか、確証する手段がありません。
オイラの壮大な勘違いという可能性が無きにしも非ずなのですが、多分こんななのではないかと。
情報お待ちしておりますm(_ _)m
話を戻します。
杭の赤い矢印は海岸を指しています。
早速海岸に向かってみることに。
黄色マーカー地点。
コンクリート製の小屋。
碑から海岸方向に100m程進んだところで左手にコンクリ製の小屋発見。
いい感じに古いのですが、これが「どこかにあるコンクリート製の小屋」なのでしょうか??
更に海岸方向に。
・トーチカA
海岸に出ました。
道はここで突き当たり、海岸に沿って右折できるようになっているのですが、ここにコンクリ製の円形のものがありました。
「トーチカA」って書いちゃったけど、これもトーチカなのかしらん。
海岸沿いの道を進むと、トーチカが見えてきました。
現在時刻は4:30。
こんな早朝にもかかわらず、たくさんの釣り人が来ていました。
車が並んで停めてある場所を見つけたのでオイラもそこに停めて海岸に下りることに。
・トーチカB
トーチカAから約380mの所に埋もれかけのトーチカ発見。
ちょっと戻って、さっき上から見えたトーチカの所まで移動。
・トーチカC
ここはトーチカAから約230m。
裏側はこんな感じ。
海釣りをする人たちの後ろに当たり前のように転がってました。
灰色マーカー地点。
大津道路
「飛行場建設の際一部が利用された」という国道336号線。
当時は廃道になっていた大津道路なのだそうです。
(以下2023年6月撮影)
黒マーカー地点。
全然見通せないですけど、この辺りから道路の左側が飛行場。
赤マーカー地点。
やっと明るい時間帯に撮れた。
細かい文字も残ってるけど、全体にすすけて目立たない感じ。
黄マーカー地点。
紫マーカー地点。
ここは飛行場っぽいですね。
紫マーカー地点からちょっと海側。
防風林のとこ。
防風林内。
ここも当時は滑走路でした。
北海道・広尾(小紋別、豊似)飛行場跡地
広尾(小紋別、豊似)飛行場 データ設置管理者:旧海軍
種 別:陸上飛行場
所在地:北海道広尾郡広尾町紋別
座 標:N42°23′31″E143°21′43″
標 高:20m
面 積:238ha(整備敷地 84.3ha)
滑走路:1,000m×220m(2本)(03/21)、(12/30)
(座標、標高、滑走路長さ、方位はグーグルアースから)
沿革
1934年06月 起工
11月 竣工
2006年11月 杭建立
関連サイト:
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よく杭を確認しましたね!素晴らしい考察と思います。ご存知の方がいらっしゃるといいですね。
by 鹿児島のこういち (2013-08-26 09:29)
この記事がきっかけになって、全国から情報が集まることでしょう!
by an-kazu (2013-08-26 17:48)
皆様 コメント、nice! ありがとうございます。m(_ _)m
■鹿児島のこういちさん
これで情報が集まってくれると、おぢさんにガン見された甲斐もあったというものなのですが。
どうなりますか^^;
■an-kazuさん
是非そうなって欲しいです。
by とり (2013-08-27 05:50)
写真を見て納得しました。この薄暗さで塹壕から顔を出したら、誰でもガン見しちゃいますよ。
埋もれかけのトーチカが寂しげです。
by Takashi (2013-08-27 22:49)
■Takashiさん
>誰でも
ですよね~(o ̄∇ ̄o)
>埋もれかけ
これはきっとTakashiさんにとって格好の被写体になると思います。
by とり (2013-09-01 07:07)