佐賀県・伊万里農道離着陸場計画 [├場所]
2024年5月 訪問
撮影年月日1991/11/21(平3)(KU912X C2 23)■
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成)
佐賀県伊万里市にあった農道離着陸場計画について、Burunoさんから情報頂きました。
Burunoさんどうもありがとうございましたm(_ _)m
教えて頂いた「広報いまり(平成2年6月1日発行)」(詳しくはリンク先をご覧ください■)によれば、
「着工に向け取り組んでいます」
「(当該)丘陵地を最適地として選びました。」
「本年度から用地交渉に入る予定」
「平成5年開港予定」
とあり、地元農業協同組合長のインタビューも載っていて、
なし(豊水)を沖縄に空輸して手ごたえを掴んだ
空輸用農産物の開発に積極的に取り組みたい
空港ができたら最大限活用したい
等、非常に前向きなご意見でした。
このお立場の方からこのようなコメントが得られたからには、
もう確実に農道空港開港できるという雰囲気だったんじゃいなでしょうか。
広報に予想図があったのでレイヤを作って~
グーグルマップに貼るとこんな感じ。
レイヤと実際の道路がかなりズレていますが、
広報(予想図)に「広域農道計画線」とある通り、この道路は予想図が作成された当時は存在しませんでした。
実際にリンク先で予想図をぐーっと拡大すると、
「広域農道計画線」と既存の道路とでは明らかに質感が違っていて、
これは航空写真に線を引いたんだなと分かります
(国土地理院で閲覧可能な直前1985年の写真にこの農道は存在せず■)。
なので、どんなにズレてても問題ありませんのだ。
幸い広報(予想図)には滑走路の両端(上の黄色矢印)部分に既存の道路がハッキリ映ってるので、
この両方の辻褄さえ合ってれば、滑走路位置は(かなり)正確に出せます。
ということで作図したのが先頭のグーグルマップです。
前述の通り、平成2年時点では「平成5年開港予定」だったのですが、
結局のところ伊万里市に農道空港は実現しませんでした。
そして空港予定地は現在「JA伊万里 園芸流通センター」になっています。
どういう経緯で農道空港がJAの関連施設になったのでしょうか??
グーグルアースで滑走路が計画されていた部分の標高を確認したのですが、
造成されている部分(JA伊万里 園芸流通センターと西隣にある太陽光発電?)は135m~138mなのに対し、
滑走路の西端は125m、そして滑走路の東部分は、造成箇所を外れると一気に落ち込み、約100mに。
135m~138mで標高が一定しているのは、長さにして450m程度。
これでは農道空港として機能しません。
こうした現状からすると、着工前に空港建設中止が決まったかもしれませんし、
農道空港として着工したものの、全体の造成をしないうちに途中で中止したのかも。
レイヤと実際の道路がかなりズレていますが、
広報(予想図)に「広域農道計画線」とある通り、この道路は予想図が作成された当時は存在しませんでした。
実際にリンク先で予想図をぐーっと拡大すると、
「広域農道計画線」と既存の道路とでは明らかに質感が違っていて、
これは航空写真に線を引いたんだなと分かります
(国土地理院で閲覧可能な直前1985年の写真にこの農道は存在せず■)。
なので、どんなにズレてても問題ありませんのだ。
幸い広報(予想図)には滑走路の両端(上の黄色矢印)部分に既存の道路がハッキリ映ってるので、
この両方の辻褄さえ合ってれば、滑走路位置は(かなり)正確に出せます。
ということで作図したのが先頭のグーグルマップです。
前述の通り、平成2年時点では「平成5年開港予定」だったのですが、
結局のところ伊万里市に農道空港は実現しませんでした。
そして空港予定地は現在「JA伊万里 園芸流通センター」になっています。
どういう経緯で農道空港がJAの関連施設になったのでしょうか??
グーグルアースで滑走路が計画されていた部分の標高を確認したのですが、
造成されている部分(JA伊万里 園芸流通センターと西隣にある太陽光発電?)は135m~138mなのに対し、
滑走路の西端は125m、そして滑走路の東部分は、造成箇所を外れると一気に落ち込み、約100mに。
135m~138mで標高が一定しているのは、長さにして450m程度。
これでは農道空港として機能しません。
こうした現状からすると、着工前に空港建設中止が決まったかもしれませんし、
農道空港として着工したものの、全体の造成をしないうちに途中で中止したのかも。
赤マーカー地点。
青マーカー地点周辺(上2枚)。
佐賀県・伊万里農道離着陸場計画
伊万里農道離着陸場(計画) データ
設置管理者:伊万里市
種 別:農道離着陸場
所在地:佐賀県伊万里市大坪町乙
座 標:33°16'51.2"N 129°54'45.5"E
標 高:135m
着陸帯:920mx60m
滑走路:800mx25m
方 位:14/32
(座標、標高、方位はグーグルアースから。滑走路長さは広報から)
沿革
1990年06月1日発行の広報いまりに計画掲載。1993年開港予定
こんにちは
googlemapを使った情報の図誌化ありがとうございます。
おおよその目星はついていたものの、そのような位置に滑走路が置かれる予定だったとは思いませんでした。とりさんの慧眼に感服です。
まだまだ航空写真の本質を見抜けない自身は恥じ入るばかりです(T.T)
農道離着陸場の規格の規格は本体800m、過走帯含めて880mぐらいだと思います。
山を切り崩せば、充分延ばせると思いますがいかがでしょうか?
JA伊万里 園芸流通センターの東南方にある、JAいまりアグリランドの建物の標高をみても山を切り崩せばなんとかいけそうです。
山を切り崩す前に採算どうのこうのと糾弾され、頓挫したものと推察いたします。切り崩すのもそれなりに費用がかかります。
取って付けたようなことを申し上げますことと、
「そこは盛り土でしょ?」というような見識違いなら、どうかご容赦ください。
by Buruno (2023-04-17 08:51)
今じゃメガソーラーと思しき設備がT_T
(さらに増えそうにも見える)
by an-kazu (2023-04-17 21:38)
■Burunoさん
この度は貴重な情報をありがとうございましたm(_ _)m
Burunoさんの仰る切り崩し等の方式で造成は十分可能と思います。
オイラの知る限り、現広島空港等、丘陵地帯に空港を造る場合、
予定地の凸部分を切り取って凹部分を埋めて、
必要な面積の平面を造成する方式を採用するケースがありました。
建設時の計画書を見ると、凹を埋めるのに、凸をどの程度削れば良いか、
その場合、平面の標高がどの程度になるか、綿密な計算をしていました。
グーグルアースの「地面レベルのビュー」で「JA伊万里 園芸流通センター」
地点からぐるっと見回してみたのですが、
この場所は周辺では最も標高が高いようです。
滑走路方向で見ても、多少標高が下がっても離着陸に支障ないようですので、
JA伊万里 園芸流通センター付近の平面を全体的に削り、
東側を埋めるやり方でも、滑走路の造成は可能なのではないかと思います。
by とり (2023-04-18 06:06)
■an-kazuさん
空港跡地(ここは跡地じゃないけど)にメガソーラーは鉄板ですね~
by とり (2023-04-18 06:08)
初めてまして。大学院生のsoichiroと申します
廃棄された滑走路のアスファルトの利用方法について研究しているのですが、何点か質問がありまして連絡致しました。お忙しい中恐縮なのですがご回答頂けると幸いです。
1.廃棄された滑走路の上に、滑走路のアスファルトを基礎として建築物を建設することは可能なのでしょうか。できるとすればどのようにして、また実際の事例がありましたら併せて教えていただけると助かります。
2.廃棄された滑走路のアスファルトを再利用して、建築物の資材や他の用途に使った事例をご存じでしょうか。またどのように再利用されるのでしょうか?部分的にでも構いません。
自分で調べたところ、旧鹿児島空港、旧大分空港、旧高松空港が滑走路跡地を使って別の用途に再利用されているのですが、滑走路のアスファルトをどのように再利用しているかまでは分かりませんでした。
よろしくお願いいたします
by soichiro (2023-04-21 13:31)
■soichiroさん
いらっしゃいませ。あまり表に出てこない話題ではありますが、時代に即した重要な研究と思います。
これまで滑走路のアスファルトを「リサイクル」という視点で見たことがなく、ほとんど情報を持ち合わせていませんが、オイラの思いつく限りのことを書きます。
1. について
旧南大東空港ターミナルがラム酒工場として使用されているのですが、
「空港をゆく」(2014年11月)には、「滑走路上に工場を増設」とあります。
また旧滑走路上には村営住宅が建設されています。
但し、「滑走路上に工場を増設」というのが本当に滑走路のアスファルトの上にという意味なのかは不明です。
旧空港周辺には未だストリートビューが入っていないようで、滑走路上の村営住宅がアスファルトの上にあるのか、アスファルトを剥がしているのか、確認できませんでした(国土地理院の航空写真でも確認できず)。
上のコメントにもありますが、廃止した滑走路上に太陽光発電施設を直置きでズラリと並べるのは定番なのですが、「滑走路のアスファルトを基礎として建築物を建設」というのは、旧南大東空港以外思いつかないです。
2. について
OKITEN NOW 平成10年夏号、平成11年秋号、平成12年夏号(当時羽田空港で貰えた)によれば、
・羽田空港の現B滑走路建設材及び地盤沈下対策として設けられる滑走路直下約2,5mの排水層
・現A滑走路西側平行誘導路の表層下の基層、路盤
この2つには、旧C滑走路等で撤去されたアスファルト舗装発生材をリサイクル使用(再生骨材混入率70%)しています。
またこのリサイクル材供給のため、場内に「再生プラント」を3基建設しています。
・「空港舗装発生材の新設滑走路舗装への再利用に関する検討」
と題する講演論文が閲覧できます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalpe1996/1/0/1_0_213/_pdf/-char/ja
「空港をゆく」、OKITEN NOWは、資料画像をメールでお送りできます。滑走路、誘導路の断面図が載ってましたので、もし必要でしたらお申し付けくださませ。
by とり (2023-04-22 03:41)
とりさん
ご丁寧に回答いただきありがとうございます。大変参考になりました。
もう一点質問がございまして、お答えいただけるとありがたいです。
滑走路はアスファルト舗装ではなく、コンクリート舗装のものもあると思うのですが、現在まだ残っているもののうち、廃棄された滑走路でコンクリート舗装のものをもしご存じでしたら何点か教えていただきたいです。
重ねての質問申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
by soichiro (2023-05-09 00:46)
■soichiroさん
バッと思いつかないので、探してみます。
来週の月曜日を目途にレスしますので、
しばしお待ちください。
by とり (2023-05-10 07:53)
■soichiroさん
お待たせしました。
頂いたコメントの条件で、北海道~関東で探したところ、
下記の通りとなりました。
全て戦中のものですが、コンクリート舗装面が現存します。
こんな感じでいかがでしょうか?
計根別第一飛行場跡地
根室航空基地(牧ノ内飛行場)跡地
岩手陸軍飛行場跡地
北浦海軍航空隊跡地(水上機用滑走台)
土浦海軍航空隊跡地(水上機用滑走台)
by とり (2023-05-13 15:57)