朝鮮・陸軍秘匿飛行場跡地(推定位置) [└日本統治時代の飛行場]
2024年10月 記事作成
前記事の続きです。
日本陸軍は済州島飛行場を建設し、続けて済州東飛行場の建設を始めたのですが、
米軍に位置がバレているとして建設を中断、島の内陸に新たに秘匿飛行場の建設を進めたのでした。
大韓民国済州特別自治道西帰浦市にある大韓航空の訓練飛行場「静石飛行場」。
この静石飛行場一帯こそ、かつて日本陸軍の「陸軍秘匿飛行場」があった場所である―
こうした内容が地元複数のサイト様に共通して記されています。
Wiki/静石飛行場
静石飛行場の位置する一帯では、かつて日本陸軍が飛行場を建設していた。この飛行場は1945年6月1000m×100mと900m×50mの滑走路を持つ飛行場として計画され、7月末には完成したとみられる。
滑走路の正確な位置、方向は不明なのですが、
史料に「1000m×100mと900m×50mの滑走路」とあったため、
先頭のグーグルマップは現行の滑走路に1000m×100m、900m×50mで被せただけのものです。
ご了承くださいませ。
で、いろいろ探してやっと見つけたのでした。
「表紙「機密作戦日誌(乙綴) 昭和20年6月 第17方面軍参謀部作戦班」」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C13070052400、機密作戦日誌(乙綴) 昭和20年6月(防衛省防衛研究所)(上2枚とも)
ダウンロード→電報文起案・訳文綴 昭和20年6月(3)→6,7コマ
「橋来里付近に別紙要領に基き秘匿飛行場を設定すべし」
とありますが、「橋来里」は静石飛行場近傍の地名です。
宛先が「砦参謀長」とあり、てっきり砦氏なる人物が当時参謀長を務めておられたのかと思ったのですが、
そうではなく、当時済州島に配備された第58軍の通称号/略称が「砦」だったのだそうです。
「砦参謀長」=「済州島第58軍参謀長」ということですね。
一.規模
1 滑走地区ハ先ず 一〇〇x一〇〇〇 五〇x九〇〇
2 収容洞窟 二〇〇名分
3 燃弾洞窟 (燃料四○○本分 弾薬五屯分)
4 飛行機格納 (イ) 洞窟は中級練習機(翼モギ)一二機分 (ロ)秘匿位置三〇機分
5 其の他所要の施設
二.完成は六月末を目途とす
陸軍が済州島に建設した三番目の飛行場ということになるのですが、
三番目にしてやっと軍作成の資料が見つかるという…(o ̄∇ ̄o)フフ
「表紙「機密作戦日誌(乙綴) 昭和20年6月 第17方面軍参謀部作戦班」」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C13070052400、機密作戦日誌(乙綴) 昭和20年6月(防衛省防衛研究所)
ダウンロード→電報文起案・訳文綴 昭和20年6月(5)→2コマ
先のものから11日後の電報。
築参電第六七八〇号「済州島陣内に秘匿飛行場新設の件」至急指令せられ度
というもので、内容は似てますね。
先のものが、築参謀長から砦参謀長宛でして、
「築参謀長」の「築」は、朝鮮を担当する第17方面軍の通称号/略称なのだそうです。
ですから先のものは、第17方面軍参謀長から済州島第58軍参謀長に対し、
「秘匿飛行場を設定せよ」という内容。
それに対しこちらの電報は、発信者が「管区参謀長」になっていますが、
「築」を消して「管区」に書き直しています。
第17方面軍の参謀長は、朝鮮軍管区の参謀長も兼ねていたのだそうですので、同一ですね。
朝鮮軍から陸軍次官に対し、「済州島陣内の秘匿飛行場新設を至急指令してください」と進言する内容です。
こうなると、指令要請の根拠となる築参電第六七八〇号「済州島陣内に秘匿飛行場新設の件」
に俄然興味が沸くのですが、いろいろ検索しても見つかりませんでした。
(閲覧可能な6780号前後の築参電が綴りからごっそり抜けてる)
繰り返しになってしまいますが、
第17方面軍参謀長が済州島第58軍参謀長に対し、「秘匿飛行場を設定せよ」
と指示してから11日後、
同じく第17方面軍参謀長が今度は陸軍次官に対し、「済州島陣内の秘匿飛行場新設を至急指令してください」
と進言。
済州島の秘匿飛行場計画に一体何があったのでしょうか。
済州島第58軍参謀長がなかなか言うこと聞かないから、「ちょっと部長からも一言言ってやってくださいよ」
みたいなことなのかしらん。
なんてことも考えたのですが…。
続きます。
朝鮮・陸軍秘匿飛行場跡地
現在、静石飛行場の駐機場に大型機が駐機しているように見えるのですが、実はコレ、静石航空館の展示機なのだそうで、グーグルアースの過去画像で確認すると、2002年~B747とA300が、次いで2009年以降コンステレーションが加わり、じっと同じ場所に駐機したままになっています。
(1)陸軍秘匿飛行場 データ
設置管理者:日本陸軍
種 別:秘匿飛行場
所在地:朝鮮橋来里付近
座 標:33°23'58.5"N 126°42'41.5"E?
標 高:352m?
滑走路:1,000mx100m(01/19)、900mx50m(15/33)?
(座標、標高、方位はグーグルアースから。滑走路長さはアジ歴史料から)
(2)静石飛行場(現在) データ
設置管理者:大韓航空
種 別:訓練用飛行場
3レター:JDG
4レター:RKPD
所在地:大韓民国済州特別自治道西帰浦市
座 標:北緯33度23分54秒 東経126度42分47秒
標 高:357.8m
滑走路:2,300m×45m(01/19)、900m×25m(15/33)
(情報はWiki/静石飛行場から)
沿革
1945年06月 建設指示
関連サイト:
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