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白戸飛行機教習所跡地 [├国内の空港、飛行場]

   2013年1月、2021年10月訪問 2021/10更新  


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1/25000「千葉西部」大正10年測図「今昔マップ on the web」より作成(2枚とも)

千葉県千葉市にあった「白戸飛行機教習所」。

ここも長いこと「千葉市役所の付近にあった」ということしか判らなかったのですが、

上に貼った大正10年のマップに「白戸飛行所」と記載がありました。

「白戸飛行所」と記載のある場所は、グーグルマップだと黄マーカーの位置となります。

「白戸飛行所」から本当にすぐ近くの位置に千葉市役所があります。

ドコで入手したか忘れてしまいましたが、「白戸飛行場は千葉市役所の付近にあった」とする情報は正しかったです。

大正10年の「白戸飛行所」と記載のある周辺を見てみると、

海岸に沿って建物が並んでおり、陸上に滑走路を設ける余地はありません。

一方、ここは遠浅で広大な干潟が出現しますので、干潟を利用した飛行場ということだと思います。

現代の感覚だと「エッ、干潟?」という感じですが、

実はここから東京湾に沿って順番に「稲毛飛行場」「伊藤飛行場」「第一航空学校」と3つの干潟飛行場がありました。

ここも含めるなら、海岸に沿って約15kmの範囲内に4つの干潟飛行場ということになります。

サイト:京葉銀行/「民間航空発祥の地」には、砂浜に複葉機が並んでいる写真が掲載されており、

「千葉海岸(登戸)白戸飛行場」というキャプションがついています(下記リンク参照)。

ということで、先頭のグーグルマップは大正10年のマップから作図しました。

赤が当時の海岸線、水色が干潟の範囲、黄色のポリゴンは飛行場適地。

この範囲内でおおよそですが、2,400mx1,300mの長さがとれますので、十分過ぎる広さと思います。

 

白戸飛行場は、白戸栄之助という人物が開設しました。

白戸氏は「稲毛飛行場」の設立者、奈良原三次の一番弟子であり、

稲毛飛行場で飛行を学んだ後、1916年に約4km離れた当地に移って白戸飛行場/教習所を開設したのでした。

白戸氏はその後数多くの高性能機を手掛けたのですが、愛弟子を相次いで墜落事故で失ってしまい、

飛行場を閉鎖して航空界から引退したのでした。

 

白戸飛行場のあった場所、千葉駅前であり、県庁、市役所があり、東京湾岸道路、モノレールが走り、

現在では千葉県の中枢ですが、大正時代の一時期、干潟でヒコーキが飛び回るという一幕があったのですね。

D20_0016.jpg

紫マーカー地点

「千葉市役所」。

DSC_0049_00001.jpg

赤マーカー地点。

湾岸道路に架かる陸橋から。

当時は湾岸道路も干潟でした。

海←→陸

この辺りから画面奥に向って干潮時は広大な干潟が現れ、ヒコーキが飛んでいたはずです。


      千葉県・白戸飛行機教習所跡地      

白戸飛行機教習所 データ

設置管理者:白戸栄之助
種 別:陸上飛行場
所在地:千葉県千葉町寒川新宿(現・千葉市中央区)
座 標:35°36'19.2"N 140°06'28.6"E
飛行地区:2,400mx1,300m(不定形/推定)
(座標、飛行地区長さはグーグルアースから)

沿革
1916年 白戸飛行機教習所開設
1923年 愛弟子2名を相次ぐ墜落事故で亡くし、航空界から引退

関連サイト:
京葉銀行/「民間航空発祥の地」(2コマ) 
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コメント 6

鹿児島のこういち

東京湾に面してるこの場所が、教習場として最適だったのでしょうか。不時着するのなら、海と陸では、どちらが助かりやすいのですか?素人的な質問で申し訳ないです。
by 鹿児島のこういち (2013-05-30 07:25) 

an-kazu

現在の国道もしくは、それに並行するように
滑走路が伸びていたのでしょうか?
それとも直角に・・・興味は尽きないですね!
(渋滞迂回で良く通ったエリアです)
by an-kazu (2013-05-31 21:12) 

とり

皆様 コメント、nice! ありがとうございます。m(_ _)m

■鹿児島のこういちさん
>海と陸
これはオイラも興味あるのですが、分かりません。
きちんとした見解も見たことがありません。m(_ _)m
オイラは戦記をほとんど読まないので、鹿児島のこういちさんの方が生々しい事例をたくさんご存じなのでは?
荒れ狂う大波とか、岩山では比較の議論にならないですよね。
広大な砂浜が広がり、海はベタ凪の遠浅だったとして、
どういう降り方をするのがベストなんでしょうか??

■an-kazuさん
おお、馴染みのある場所でしたか^^
残念ながら資料が見つからないので滑走路の位置が不明なのですが、
海の側であることを考えると、an-kazuさん説の前者の方が可能性が高いのかなぁ。
と思います。
実際のところどうなんでしょうね。気になります。
by とり (2013-06-01 05:39) 

鹿児島のこういち

学生時代の頃、戦時中に飛行場を造る際、海辺の近くのほうが不時着するときに安全だとか、海面への着水を試みるとか、書物を読んだり、話を聞いたりした覚えがあるのですが、今考えると、水面に着水しても高高度から高速で降りてくればコンクリートの上に降りるくらいの衝撃を受けるわけですから、安全とはいかないです。海面なら周りに人がいる確率が非常に少ないからなのかと思ったりもしたのですが、それも僕自身の想像でしかないので、搭乗者の安全のこととは違いますし、どうなんだろうと疑問でした。
by 鹿児島のこういち (2013-06-02 07:39) 

まめ助の母

ご無沙汰しちゃいました。
コメントありがとうございます
飛行場の跡がわからないと書いてあると
ついつい、地図のまっすぐな所をさがしちゃいますね

前でのコメントで不時着の事が書いてありましたが
一般住民に被害を少なくするには海なんでしょうね
ちょい前の自衛隊機不時着は電線を切って大騒ぎでしたが
河川敷のだれにも被害のない場所へ飛行機を誘導したら
脱出する時間までは確保できなかったようなので…

私だったら何も考えずに脱出しちゃいそうなので
頭が下がります。
by まめ助の母 (2013-06-02 08:48) 

とり

■鹿児島のこういちさん
確かに落下速度が速過ぎると陸も海も大差ないですね。
機体の制御が出来て、安全な場所があるなら、不時着後のサバイバル、レスキューまで考えると
陸のがマシという感じでしょうか。
大戦期の戦闘機は頭でっかちなので、草むらに不時着したらつんのめってひっくり返ったりとかありましたね。

■まめ助の母さん
ブログに手が回らないのはリア充で結構なことです^^
>まっすぐな所
確かにそうですね^^;
前コメではパイロットの安全のことばかり考えていて、巻き添え犠牲となる方の視点が欠落してました。
確かにそれだと海のがマシなんでしょうね~。
>何も考えず
それが誰しも正直なところですよね。
自衛隊のパイロットは卵の頃から「骨は俺たちが必ず拾ってやる。だから民家の上には絶対落ちるな」
と散々言い含められるのだとか。
by とり (2013-06-03 06:02) 

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