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朝鮮・水原飛行場跡地 [└日本統治時代の飛行場]

   2024年10月 記事作成(未訪問)  



 
大韓民国京畿道水原(スウォン/すいげん)市にある水原空軍基地。

かつてここは日本陸軍の「水原飛行場」でした。

■陸軍飛行場要覧(北海道・朝鮮)に図があり、先頭のグーグルマップはここから作図しました。

朝鮮京畿道 水原郡
滑走路 六〇x一五〇〇米 コンクリート舗装
掩体 大四四ヶ所
収容施設 六〇〇名分
※戦史史料・戦史叢書検索で見れます(10コマ)。

■疾風と共に : 飛行第二十二戦隊部隊史107p
 三月上旬といえば、緯度の高い朝鮮ではまだ相当に気温が低く寒い。水原飛行場も朝晩は完全に凍結し、日中日光を受ける部分が漸く溶けだすという状態であった。水原は飛行場完成以来日が浅いもののようで、舗装された滑走路以外、氷が解けると飛行機の地上滑走すらむずかしくなるような状態であった。
 戦隊長は以上のような状態では、円滑な部隊の行動が望めないと決心し、早速各方面に連絡調整した結果、部隊は三月八日京城西方の金浦飛行場に移動し、ここで戦力回復のための錬成訓練を行なうようになった。
※国立国会図書館デジタルコレクションで見れます(56コマ)。

敷地の広々とした飛行場ですが、実際の運用にはご苦労があったのですね。


3.png
本土航空作戦記録 (文書名: Japanese Monographs = 日本軍戦史 ; Monograph No. 23) (ボックス番号: 3) 

本土決戦の際、米軍が郡山付近に上陸した想定の飛行部隊展開配置図。

水原飛行場も作戦に組み入れられていました。

詳しくは潭陽飛行場記事をご覧ください 

国立国会図書館デジタルコレクションで【水原飛行場】と検索すると、

朝鮮戦争での水原飛行場関連を記した多数の書籍がヒットします。

マッカーサーも降り立った飛行場です。


飛行場敷地は1,800mx1,000mの方形で、東側に付属施設、西側に幅600mで飛び出た部分のある形状ですが、

線路と川に挟まれた地形にうまいことフィットする形状になっています。

図によれば、滑走路は方形の飛行地区のかなり東側に寄った場所に設けられています。

作図の際、この滑走路位置をどうやって決めようか悩みました。

現行の空軍基地には三本の滑走路があって、

幅は一番西側の滑走路が44m、真ん中と東側の滑走路が46mなんですが、

一番東側の15L/33Rだけ、明らかに60m幅の舗装面に46m幅の滑走路が乗る恰好になっています。

この幅60mは日本軍当時の滑走路幅と同じ。

それで、一番東側の15L/33Rが日本軍当時の滑走路位置だと考えました。

但し、日本軍当時の滑走路長さが1,500mだったのに対し、

この60m幅は、現行の滑走路の長さ(2,743m)いっぱいに続いています。


それからもう一つ、現行3本ある滑走路にペイントされている磁方位(数字で滑走路の向きを示す)は、

15R/33L、15L/33R、16/34

となっており、この数字だけ見ると、1本だけ微妙に滑走路の向きが違うのかと思いますが、

実際に滑走路同士の間隔を測ってみると、1m単位で同じでした。

つまり、ペイントされている数字は異なるのに、完全に平行滑走路ということです。

ドユコト??

不思議に思ってグーグルアースの過去画像を見てみたら、

2012/3/20までは15R/33L、15L/33Rの2本しかありませんでした。

2014/4/8の画像で西側に第三の滑走路が出現していますが、ランウェイナンバーのペイントはまだ無し。

2015/2/8の画像ですっかり16/34とペイントが施されており、現在に至ります。


ここまでが事実で、ココから先はオイラの憶測なんですが、

三本目の平行滑走路を作ったならば、本来は真ん中の滑走路は15L/33R→15C/33C に変更し、

三本目の滑走路に15L/33Rというランウェイナンバーを譲るべきなんですが、

長年の慣れもあるでしょうし、煩雑な諸々の変更業務を避けるため、

「16/34ですけど何か?」ということにしたんじゃないでしょうか。




     朝鮮・水原飛行場跡地         
(1)水原飛行場 データ
設置管理者:日本陸軍
種 別:陸上飛行場
所在地:朝鮮京畿道水原郡
座 標:37°14'23.4"N 127°00'16.1"E
標 高:24m
飛行場:1,000mx1,800m(不定形)
滑走路:1,500mx60m(コンクリート)
方 位:15/33?
(座標、標高、方位はグーグルアースから。飛行場、滑走路長さは防衛研究所資料から)

(2)水原空軍基地(現在) データ
設置管理者:大韓民国空軍
種 別:軍用飛行場
3レター:SWU
4レター:RKSW
所在地:大韓民国京畿道水原市
座 標:北緯37度14分21.86秒 東経127度0分25.39秒
標 高:27m
滑走路:2,743m×46m(15R/33L)、2,743m×46m(15L/33R)、2,297m×44m(16/34)アスファルト
(主にWiki/水原空軍基地から)

沿革
1945年 この頃建設

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この記事の資料:
陸軍飛行場要覧(北海道・朝鮮)
疾風と共に : 飛行第二十二戦隊部隊史


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