福岡県・多々良航空基地跡地 [├国内の空港、飛行場]
2024年5月 訪問
撮影年月日1947/03/07(昭22)(USA M105 59)■
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成)
福岡県福岡市東区にあった海軍の「多々良航空基地」。
ここも長いこと明確な場所が不明だったのですが、
PUTIN様から以下2点情報を頂きました。
■「航空特攻戦備」第2期
方面 佐世保
牧場 多々良
滑走路 二八×一〇〇〇NE
縣郡村 福岡、筑紫 春日村
記事 既成
■佐世保施設部担当の各飛行場について
件名:佐世保施設部管区航空基地緊急整備推進隊報告
(前略)
(二)新設基地(別紙位置図参照)
多々良基地
概位:現九州飛行機会社南側道路ヲ利用
工事概要:在来道路(巾員二八米)ヲ更ニ一〇米拡張シ之ニ伴ナフ電源ノ移設、飛行機隠匿場、組立場新設
「現九州飛行機会社南側道路ヲ利用」とあります。
九州飛行機の工場は(オイラの知る限り)、板付、香椎、雑餉隈、和白、筑紫郡原田にありました。
福岡県内に複数あったんですね。
また空襲が激しくなると、これ以外にも疎開工場が複数作られました。
香椎と和白以外の工場の正確な位置が不明なんですが、
地名としての「多々良」からそれぞれの工場のある地名までの距離は、
香椎工場 2.8km
和白工場 6.9km
板付 7.5km
雑餉隈工場 10.0km
筑紫郡原田(原田駅) 24.4km
となり、香椎工場が突出して多々良に近いです。
それで資料にある「現九州飛行機会社」とは、香椎工場を指すと考えました。
上に貼った航空写真が九州飛行機香椎工場です。
現在はすっかり埋め立てが進んで内陸ですが、当時は博多湾に面していたんですね。
上述の史料では、
・会社南側にある道路
・1,000mx28mの直線がとれる
とありますので、この条件から多々良飛行場は、
香椎工場東側に沿って走る現国道3号線のことではないかと思いました。
工場付近を拡大するとこんな感じ。
史料によりますと、「在来道路(巾員二八米)」とあります。
上に貼った航空写真の赤矢印部分の太さがちょうど28mです。
(現在の国道3号線は歩道部分まで含めて約30m)
そして香椎工場沿いの現国道3号線は、約1,150mの直線です。
史料の条件も満たしているため、今のところここが「多々良基地」なのではないかと。
史料によりますと、「在来道路(巾員二八米)」とあります。
上に貼った航空写真の赤矢印部分の太さがちょうど28mです。
(現在の国道3号線は歩道部分まで含めて約30m)
そして香椎工場沿いの現国道3号線は、約1,150mの直線です。
史料の条件も満たしているため、今のところここが「多々良基地」なのではないかと。
1/25000「福岡」昭和25年三修「今昔マップ on the web」から作成。2枚とも
ここまで、工場東に隣接する直線道路を滑走路として話を進めてきたんですが、
実はこの直線道路の南側、ちょっと折れた先にも約1,000mの直線道路があります。
「現九州飛行機会社南側道路」と言えば、こっちの方がよりらしい気もします。
グーグルアースで確認しましたが、勾配は両者問題なし。
それでもオイラとしましては、工場に隣接する東側部分が滑走路ではないかと思っています。
実はこの直線道路の南側、ちょっと折れた先にも約1,000mの直線道路があります。
「現九州飛行機会社南側道路」と言えば、こっちの方がよりらしい気もします。
グーグルアースで確認しましたが、勾配は両者問題なし。
それでもオイラとしましては、工場に隣接する東側部分が滑走路ではないかと思っています。
南側の直線部分を拡大しました。
直線道路の西側に「名島火力発電所」があります。
この発電所は、大正9年~昭和35年まで運転していました。
この発電所は石炭火力発電所だったため、大量の石炭を運び入れる必要があり、引込線が敷設されました。
この引込線が直線道路の中央辺りで交差しています。
また、上述の史料では「更ニ一〇米拡張シ」とあります。
「28m道路を拡幅して38mにせよ」ということなんですが、
直線道路の南側には「名島橋」(結構長い)もあります。
国交省福岡国道事務所/名島橋の紹介■ によれば、
昭和8年3月完成。全長:204.1m 全幅:24.0m
とあります。
ヒコーキの滑走に支障ないように道路と線路を交差させるのも、
幅24mの橋を長さ204.1mに亘って38mに拡幅することも、
可能ではあるのでしょうが、ここにコストを注ぎ込むよりは、
大人しく工場の東側を使った方が現実的なのではないかと。
直線道路の西側に「名島火力発電所」があります。
この発電所は、大正9年~昭和35年まで運転していました。
この発電所は石炭火力発電所だったため、大量の石炭を運び入れる必要があり、引込線が敷設されました。
この引込線が直線道路の中央辺りで交差しています。
また、上述の史料では「更ニ一〇米拡張シ」とあります。
「28m道路を拡幅して38mにせよ」ということなんですが、
直線道路の南側には「名島橋」(結構長い)もあります。
国交省福岡国道事務所/名島橋の紹介■ によれば、
昭和8年3月完成。全長:204.1m 全幅:24.0m
とあります。
ヒコーキの滑走に支障ないように道路と線路を交差させるのも、
幅24mの橋を長さ204.1mに亘って38mに拡幅することも、
可能ではあるのでしょうが、ここにコストを注ぎ込むよりは、
大人しく工場の東側を使った方が現実的なのではないかと。
赤マーカー地点。
滑走路方向
福岡県・多々良航空基地跡地
多々良航空基地 データ
設置管理者:海軍
種 別:陸上飛行場
所在地:福岡県福岡市東区千早
座 標:33°39'04.4"N 130°26'15.4"E
標 高:3m
滑走路:1,000mx38m
方 位:02/20
(座標、標高、方位はグーグルアースから。滑走路長は史料から)
関連サイト:
ブログ内関連記事■
この記事の資料:
佐世保施設部管区航空基地緊急整備推進隊報告
渡辺 洋二『異端の空 太平洋戦争日本軍用機秘録
かつての海岸線の名残なども探したくなりますね〜
by an-kazu (2024-06-26 22:56)
■an-kazuさん
こちらも返事が遅れて申し訳ありません。
それ分かります!
by とり (2024-07-01 04:57)