千島・新知宇志知北島不時着飛行場跡地 [├国内の空港、飛行場]
2022/1更新(未訪問)
宇志知北島にあった日本軍の「新知宇志知北島不時着飛行場」。
■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土周辺-16飛行場記録(千島の部)第1復員局」の中に、
「新知宇志知北島不時着飛行場」という図があり、実線で十字形にクロスする2本の滑走路と、
破線で1本の滑走路が描かれていました。
実線で描かれた2本の滑走路は、それぞれ、1700x100 600x100 と長さが記されています
(破線の滑走路は長さの記載無し)。
同資料には続けて、当不時着飛行場の情報が記されています。
この情報の「滑走地区」の項目には、3本の滑走路それぞれの長さと向きが記されているのですが、
この中で、図にある滑走路と長さが合っているのは、600x100 の1本のみ。
しかも滑走路の向きがバラバラです。
別の島の情報と間違えたかとも思ったのですが、情報に出てくる地名等は、図と一致しています。
しかも図に描かれている通りに線を引いていくと、どうしても矛盾が出てしまい、
同じ図に記されている滑走路の長さ通りの作図ができません。
どうしたものかと思ったのですが、グーグルマップで島をズームして見ると、
最も長い1,700m滑走路のものと思しき地割が(片側1本だけですが)ありました。
全長約2.9kmの細長い島なので、ここに1,700mの滑走路を引こうとすると、
自ずと適地は限られます。
ということで、情報に記されている内容は無視し、地割らしきものが残っている1,700m滑走路を中心に
作図しました。
おおよそこんな。ということでご了承くださいませ。
また図には、冬期の恒風は北北西、夏期(六、七、八月)の恒風は東北東とありました。
以下情報を引用させて頂きます。
新知宇志知北島不時着飛行場
判決
一、場内雁紅蘭又は苔にして昔年苔蓄積し海綿上を歩むの感あれど
全くの平原なり
二、西海岸西湾東海岸東湾の両湾あれど錨地としての価値少く海岸
より断崖となりて道路の便極めて悪し
三、各風向とも相当強烈なるものあるべし
四、断片的霧の通過一日数回に及ぶ
位置
新知宇志知島北部草原
港湾及上陸點
全島海岸は断崖にして最南端西湾に面し僅かに上陸点を有するのみにして
資材集積場としては養狐番舎東側に奥行三〇米x長さ一〇〇米の平
担地あり
水際石磔露出し浪高く危険なり
土質
黒褐色草根の蓄積せる腐葉土にして五〇糎以下茶褐色の礫土と
なり地下岩盤の如し
滑走地区
広袤及形状
東西六〇〇米x一〇〇米 南々西、北々東七〇〇米x一〇〇米及南北
一〇〇〇米x一〇〇米三方向とす
恒風
東西風及北西風
地表面の状態
苔及雁紅蘭にして点々として約四十糎程度の雑草を有し平原なり
拡張の能否
なし
使用上の注意
南方に向い極めて僅かに高傾斜を有し中央部東西に亙り僅小な底地
(湿地)あり
其の他
全般的に湿度大にして草根の腐蝕せるもの蓄積し恰も「ツンドラ」帯を
歩行するの感あり
周囲の景況
滑走地区との関係
滑走地区南方九〇高地付近に十分なる地積を有す
宿営の為の諸施設
無人島にして南端断崖下に養狐番舎あるのみ新設せは地積は自由に
得らるべし
交通通信
夏期一、二回海獣会社の交通船寄港するのみにて其の他なし
飲料水
番舎付近に湧出水ありて飲料に適するも其量僅かなり
気象
晴天日数
晴天一ヶ月一二日 降雨十二、三日其の他大部分曇天なり
気温
最低-18℃ 最高+32℃
積雪量
積雪量約四、五〇糎にして細雪なり
霧
晩秋より冬期は殆どなきも其の他の日は一日数回断続す
■防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」
にも同じ要図と同じ情報がありました。
にも同じ要図と同じ情報がありました。
千島・新知宇志知北島不時着飛行場跡地
新知宇志知北島不時着飛行場 データ
設置管理者:日本軍
種 別:不時着陸場
所在地:新知宇志知島北部草原(現・オストロフ・リポンキチャ)
座 標:47°32'31.2"N 152°50'27.3"E
標 高:79m
滑走路:実線の2本:600mx100m(15/33)、1,700mx100m(05/23) 破線の1本:1,200mx100m(03/21)
(座標、標高、方位はグーグルアースから)
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この記事の資料:
防衛研究所収蔵資料「陸空-本土周辺-16飛行場記録(千島の部)第1復員局」
防衛研究所収蔵資料「陸空-本土防空-48飛行場記録 内地(千島.樺太.北海道.朝鮮.台湾を含む) 昭19.4.20第1航空軍司令部」
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