五井水上基地跡地 [├国内の空港、飛行場]
2018年6月訪問 2022/1更新
撮影年月日1947/02/22(USA M50 115)■
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成)
千葉県市原市にあった「五井水上基地」。
ここも情報が極端に少なくて、ずっとナゾの基地だったんですが、
■防衛研究所収蔵資料:「海軍航空基地現状表(内地の部)」(昭和二十年八月調)の中に当基地の情報がありました。
以下引用させて頂きます。
位置:千葉県市原郡五井町
基地名:五井(水)
最寄駅よりの方位距離粁:房総西線五井駅NW3
飛行場:台2基
用地面積(除飛行場):敷地2.500x700
主要機隊数、主任務、隧道並に地下施設、掩体 記載なし
其の他記事:工事約50%にて中止す 港内浚渫の土砂にて陸飛行場
(千葉空)を計画せり
まず基地名ですが、凡例の項目に基地名欄についての説明がありました。
〇印…別図あり
(両)…水上陸上両基地
(水)…水上基地
ということで、「五井(水)」とありますから、「五井水上基地」ということですね。
次の「最寄駅よりの方位距離粁」ですが、「房総西線五井駅NW3」とあります。
五井駅は現在JR内房線なので、「房総西線ってナニ?」 という感じだったんですが、
Wiki先生によりますと、
蘇我駅 - 木更津駅 - 安房鴨川駅間は昭和8年~昭和47年まで、
房総西線(ぼうそうさいせん)として分離していたんだそうです。
実は五井駅から正確にNW3だと、当時はまだ海面でした(先頭のグーグルマップ青マーカー)。
航空写真で見ると、正確にNW3の位置から少し東側にいかにもな白っぽい箇所があるので、
コレが基地ではないかと。
また、「敷地2.500x700」とあり、水上基地としては異様な広さなんですが、
「其の他」の項目では、「港内浚渫の土砂にて陸飛行場(千葉空)を計画せり」とあります。
「千葉空」ですって!
そんな計画があったんですね(@Д@)
同資料内では、同じく千葉県の館山が「館山水上陸上両基地」として記載されています。
館山基地は広大な敷地に滑り台と1,000m滑走路を2本有する基地でしたから、
五井も当初はこういう大規模な基地を目指していたのかも。
「敷地2.500x700」とありますが、
上の1947年の航空写真で白く映っている部分は最大でも1,800mしかありません。
「工事約50%にて中止す」とある通り、本当はもっと大きくするつもりだったんでしょうね。
上側になんか細長い部分がありますが、これは埋立途中のものなのかも。
当基地は資料にある通りまだまだ造成途上で、実際にどの程度使用していたのか不明です。
■「21世紀へ伝える航空ストーリー 戦前戦後の飛行場・空港総ざらえ」の中にこんな説明がありました。
木更津港の浚渫の土砂で東京湾を埋め立て、陸上飛行場と千葉海軍航空隊を造成することが計画にあったが、工事半ばで中止になったという。
赤マーカー地点。
現在はAGC旭硝子工場になっています。
千葉県・五井水上基地跡地
五井水上基地 データ
設置管理者:海軍
種 別:水上機基地
所在地:千葉県市原郡五井町(現・市原市五井海岸)
座 標:N35°32′03″E140°05′16″
標 高:3m
滑走台:2
敷 地:2,500mx700m(資料より)
(座標、標高はグーグルアースから)
関連サイト:
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この記事の資料:
防衛研究所収蔵資料:「海軍航空基地現状表(内地の部)」(昭和二十年八月調)
「21世紀へ伝える航空ストーリー 戦前戦後の飛行場・空港総ざらえ」