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滋賀県・におの浜観光港(せとうちSEAPLANES試験飛行場) [├場所]

   2023年10月訪問  




前記事の通り、大津市では1972年まで水上機による遊覧飛行が行われていたのですが、

2020年11月24日、この場所から東南東約2kmの場所に仮桟橋が設けられ、水上機の実証飛行が実施されました。

水上機による遊覧飛行を50年ぶりに復活させようとする大津市が、

「せとうちSEAPLANES」社に運用実験を依頼したもので、

市がJTBに委託して募集した結果、16人の乗客が集まりました。

(「せとうちSEAPLANES」社は2022年に会社清算、全機登録抹消済み)

当時の記事等総合すると、実証飛行当日はおおよそ以下の流れだったと思います。

第1便は午前9時ごろ、乗客4人を乗せて関西空港を離陸。

京都市上空などで遊覧飛行を行い、約50分後、琵琶湖に着水(直行すれば25分程度らしい)。

におの浜に設置された仮桟橋発着で、2~4便が約30分間フライトしました。

第4便には佐藤健司市長ら行政関係者らが搭乗。

「光る琵琶湖が美しかった」「着水は普通の旅客機が着地するときより衝撃が少なくて驚いた」

等、搭乗客の評価は上々で、実験は成功裏に終わりました。


「小型船や水草の繁茂、ホテルとの連携など課題は多いが、琵琶湖は水面のうねりが少なく都会も近い。富裕層やインバウンドに需要があると思う」(せとうちSEAPLANES社長・当時)

「新たな人の往来が生まれることを期待し、事業者の皆さんと一緒に方法を模索したい」(佐藤市長)

とのことで、この成功を受け市としては「なぎさ公園周辺魅力向上プロジェクト」として、

遊覧飛行の事業化を探る。としていました。

前述の通り、1972年まで11年間水上機の遊覧飛行が行われていたのですが、

残念ながら利用低迷で廃止となった過去があります。

実はその後、県内の経済界や県も含め、復活を目指す動きがあったのですが、

河川法、自然公園法、漁業関係者との調整等の課題から実現していなかったのだそうです。


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におの浜観光港(におの浜観光桟橋)


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琵琶湖汽船の公式サイトには、

同社の「ミシガン」という外輪船がこの桟橋に接岸している様子が掲載されています。

写真はどれも船首を陸向きに桟橋につけているものばかり。

外輪が船尾についているせいで、バックで接岸すると接岸の停船時や出港時、

陸側にしぶきが降りかかって大変なことになるからかしらん。

それはともかく「接岸は左舷側」なので、上の写真の場合、船首から入って来ると、

船は桟橋のこちら側(西側)に接岸することになります。


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実証飛行当時の記事を見ると、水上機の発着場所について、「におの浜桟橋」とするものと、

「仮桟橋」とするものがあります。

そして実際に桟橋に繋留している画像を見ると、「におの浜桟橋」の途中辺りから、こちら側(東側)に、

桟橋に対して直角に仮の桟橋を設けているように思います。

国土地理院の航空写真、グーグルアースの過去画像、ストリートビューで探しても、

「におの浜桟橋」に仮桟橋がくっついている画像は見当たらないのですが、

個人的には角度的にそう見えてなりません。

なんで外輪船が桟橋のドッチ側につけるかとかわざわざ触れたのは、

入港の際、船が船尾から入って来るとしたら、接岸は桟橋のこっち側になるため、

仮桟橋なんて余計なものをつけてる場合じゃないからです。

で、公式サイト等画像検索したところ、外輪船は桟橋の西側を使用しているため、

フリーな東側なら、仮桟橋の設置が可能だと考えたのでした。


実証飛行当時はコロナ禍真っただ中だった訳ですが、

「コロナ禍だからこそ、少人数移動というニーズの開拓が見込める」的な意見も見られました。

ところが肝心の「せとうちSEAPLANES」社自体がコロナ禍による需要低迷等からなくなってしまいました。

ANA総合研究所が2023年2月28日に「水上飛行機ビジネスの実現性について」と題する論文を出しており 

この中で「せとうちSEAPLANES」社を引き合いに出して、どうして日本で水上機ビジネスが厳しいのか、

非常に分かり易く解説しているのですが、

同時に湖沼等での運用が如何に水上機(を運用する航空会社)にとって有利かも示しています。

曰く、海面で運用の場合、毎日の水洗、週に一度の防錆作業の際は半日運用ができなくなるのだそうです。

琵琶湖発着の遊覧飛行が定着すれば、若しくは運用を淡水域に限定できればこれが不要となり、

航空会社の負担が相当軽減されます。

また水上機は天候に左右されることが陸上機よりはるかに多いのだそうで、

たとえば「せとうちSEAPLANES」社の規定では、波高30cmで運行不可だったのだそうで、

琵琶湖ならばこの面でも海よりはマシなのではないかと。

「せとうちSEAPLANES」社がなくなってしまったのは非常に残念なのですが、

琵琶湖での水上機運用については、同社ではなく、地元大津市に事業の意志があるため、

オイラとしましては、どこかが名乗りを挙げてくれることを願います。



     滋賀県・におの浜観光港         
におの浜観光港 データ
所在地:滋賀県大津市におの浜
座 標:35°00'22.8"N 135°53'17.5"E
標 高:84m
(座標、標高はグーグルアースから)

沿革
2020年11月24日 「せとうちSEAPLANES」機による運用実験

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