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弟子屈不時着陸場跡地 [├国内の空港、飛行場]

   2023年6月訪問  



無題6.png
撮影年月日1947/10/31(USA M643-1 95)  
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成)

北海道川上郡弟子屈町には、1955年~2009年まで「弟子屈飛行場」がありましたが、

その「弟子屈飛行場」の北約3.6kmに1940年当時、「弟子屈不時着陸場」がありました。

■防衛研究所収蔵資料:航空路資料 第11 北海道地方飛行場及不時着陸場 昭和16年(1941年)3月刊行 水路部

の中に当不時着陸場の付図があり、先頭のグーグルマップは、そこから作図しました。

上に貼った航空写真、ほぼ正方形の地割を白矢印で囲ってありますが、

付図でも同じ地割があり、この正方形の中に、

ちょっと東側の辺が斜めになってる「着陸可能地区」が描かれていました。

同資料から以下引用させて頂きます。


弟子屈不時着陸場(昭和15年8月調)
川上郡弟子屈村大字屈斜路村字美留和原野(弟子屈駅の北方約3.5粁)

所管 弟子屈村役場
着陸場の状況

高さ 平均水面上約120米。
広さ及形状 着陸可能区域は美留和原野の南方釧路川の左岸に沿う図示の
如き長さ北西-南東約450米、幅北東-南西約400米の四辺形地区なり(付図
参照)。
地表の土質 礫土にして火山灰を含む。
地面の状況 着陸地域及其の隣接地区一帯の地表は火山灰にして北部の一
部は耕地なるも殆んど全部に牧草密生す・北西部に稍傾斜あるも概ね凸凹起伏
なき平坦且堅硬地なり・排水は傾斜地なるを以て良好なり・夏季炎天続きの際
も冬季霜解の時にも地面の状況には変化なしと言う。
場内の障碍物 着陸区域内にはなし・北側の電信線は障碍物となる。

周囲の状況
一般 本場は千島山脈南方斜面の高原地を流るる釧路川右岸に位し、周囲
概ね平坦なるも其の外方約4粁付近より丘陵性台地を成し急に隆起して東、西、
北の3面は恰も屏風を建て回したる如く峻嶺相連る。
山岳及丘陵 其の主なる山岳を列記すれば次の如し、北西方約20粁北見
の国境に「サマッケヌプリ」岳(974)あり、夫より右回りに順次「コトニヌ
プリ」岳(950)、「サマッカヌツプリ」岳(974)あり、其の東麓に屈斜路湖を
展べ又藻琴山は両山系の間に屈斜路湖を抱擁し此の山系の北側に位し釧路、北
見の国境を成す・場の北方約10粁川湯駅付近の「マクワンチサプ」山(574)、
「アトサヌプリ」山(510)は数箇所に噴火口あり常に白煙濛々として異様の音
響を発し壮観を呈す、北東方約10粁の「カムイヌップリ」岳(摩周岳)(858)
は鋸の歯の如き形状を呈し頂に舊噴火口あり其の南西中腹に陥落湖たる著名の
摩周湖存す、場の北方約4粁に美留和(401)及南西方約4粁に美羅尾山(554)
あり。
平野 外方は上記の如く峻嶺高原を以て圍繞せらるるも場の付近は平野展
開す、即ち釧路川、当別川、屈斜路沿岸の平野是にして南方は熊牛、仁多、当
別、北方は美留和、路佐登、屈斜路の諸平野なり・前記平野外縁付近は所々に
緩波状をなせる高原地なり・平野丘陵地共一般に牧畜に適す。
樹林 本場付近は平坦なる草地にして外囲に柏、雁皮類の稚樹疎生す。
河川 場の西側を流るる釧路川は源を屈斜路湖に発し、屈斜路、弟子屈、
熊牛の原野を北西より南東に貫き当別川、モエリ別川、秋田川、仁多川、ル
イラレ川、美留和川等の多数の枝流を合せたる上標茶、釧路両村を経て太平洋
に注ぐ・小渓流の一つは場周北側に沿い釧路川に注ぐ。
湖沼 本場の北方約10粁諸山の間に屈斜路湖あり、噴火太湖にして周囲
約50粁、水深平均125米なり、諸峯より発する渓流は悉く注ぎ常に碧水湛々
たり、湖中に島ありて樹木欝茂し、周囲は断崖壁立す、湖の南岸は釧路川の水
源たり・屈斜路湖の東方摩周岳の中腹に摩周湖あり、周囲約25粁の大陥落湖
にして水深208米と称せらる、湖の周囲は宛ら擂鉢の内面の如く絶壁にして湖
心碧澄を呈し虹別川と美留和川の源泉をなす、共に風光明媚を以て近時世に知
らる。
建築物 場の北方及西方に民家数屋あり。
電線 本場の北東側着陸場の東辺に平行し南方に走る普通電線あり。
着目標 屈斜路湖、摩周湖、釧路川、釧網本線、弟子屈村。

地方の状況
航空隊 美幌海軍航空隊(網走郡美幌町)北西方約47粁。
憲兵隊 釧路憲兵分駐所(釧路市浦見町)南方約65粁。
警察署 釧路警察署(釧路市幣舞町)南方約65粁。
駐在所 弟子屈巡査部長派出所及同巡査駐在所(弟子屈村)南方約3.5粁。
役場 同上。
病院 弟子屈村に病院2(長谷川、白川)あり。
宿泊 弟子屈村に「ホテル」1(収容員数計約50)、旅館約5(収容員数計
約300)あり。
清水 本場付近に湧出水あり水量豊富水質良好。
応急修理 弟子屈村内に石原、林、高梨の3鉄工所あり一時的応急修理程
度ならば可能。
航空需品 弟子屈村にて「ガソリン」「モビル」油等少量ならば補給し得。

交通運及輸通信(←原文ママ)
鐡道 弟子屈駅(釧網線)南方約3.5粁・美留和駅(釧網線)北方約5粁。
乗合自動車 弟子屈より川湯を経て美幌町に至る畑江乗合自動車の便あ
り、随所に停車す。
道路 本場の東方約800米に南北に走る釧路、網走間地方費道路(幅約7
米)及北側を東西に走る弟子屈美幌間準地方費道路(幅約4米)あり何れも自
動車類の運航可能。
車馬及運送店 乗用自動車は畑江自動車部(弟子屈村)外数箇所に於て相
当数雇傭することを得・弟子屈村に貨物自動車5、荷馬車5あり・駅前に(〇の中に通)運
送店あり。
電信及電話 弟子屈郵便局(弟子屈村)南方約3.5粁、電信及電話を取扱う。

気象
測候所 釧路測候所(釧路市幣舞町)南方約6.5粁。
地方風 冬季は北風、秋季は北西風、春及夏季は南東風なり。
天候 1月至6月間は天候概して良好、7、8月は不良なり。7、8月頃は多
雨なり。本場の南方約30粁にある標茶地方に於ける昭和4年至同7年4箇年
間の統計次の如し。

(以下、月別の快晴日数、曇天日数、降水日数、霧日数 省略)

地方天気豫察の俚諺 本場の西方約2.5粁の美羅尾山(554)の頂が雲に
蔽わるる時は降雨又は雪の前兆なり。

其の他
本場は北海道庁の牧草試作地にして付近一帯は牛馬の遊牧場をなし上空よりの
発見稍困難なり又牧草刈取の上一時堆積し置くことあり着陸の際特に注意を要す。

道の牧草試作地を使用した不時着陸場なんですね。

いかにも北海道って感じ。


DSC_0947_00001.jpgDSC_0949_00001.jpgDSC_0951_00001.jpg


赤マーカー地点。



     北海道・弟子屈不時着陸場跡地         
弟子屈不時着陸場 データ
所 轄:弟子屈村役場
種 別:不時着陸場
所在地:北海道川上郡弟子屈村大字屈斜路村字美留和原野(現・川上郡弟子屈町弟子屈原野 )
座 標:N43°30′44″E144°25′54″
標 高:120m
着陸可能地域:450mx400m
(座標はグーグルアースから)

沿革
1940年 この頃不時着陸場があった

この記事の資料:
防衛研究所収蔵資料:航空路資料 第11 北海道地方飛行場及不時着陸場 昭和16年(1941年)3月刊行 水路部


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