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鹿児島県・瀬滝飛行場(南飛行場)跡地(工事中止) [├場所]

   2024年4月訪問  




鹿児島県徳之島 天城村瀬滝(当時)にあった陸軍の「瀬滝飛行場(南飛行場)」。

途中で工事を中止したため、未完に終わった飛行場です。

■徳之島町誌(1970) 186p-

1.浅間飛行場
 昭和十八年、戦局は悪化し南方各島嶼各作戦は敗退を続け、インド・ビルマ作戦も後退を続けていた。敵の進攻速度は速くなり、フィリピン、台湾、沖縄、奄美と本土への飛び石伝いの島々の防衛強化がさけばれてきた。同年十月八日、航空本部熊本支所長一行十二人が徳之島に来た。一行は平土野に泊り、九日は上田利光天城村長ら幹部を帯同し、浅間部落一帯を視察、十日は瀬龍部落一帯を視察し、安藤俊良技師、太宰見習視官ら三人を残して、一行は沖縄県平島に出発した。

これは特に浅間飛行場について記した部分ですが、浅間視察の翌日、「瀬龍部落一帯を視察」とあります。

9日、10日の視察の後、12日には浅間の測量が始まり、すぐに土地買収が続きます。

瀬滝で飛行場建設が始まるのは、この時から4ヵ月後(後述)なのですが、

浅間視察の翌日に瀬滝の視察をしていたことからすると、

陸軍では来島前から既に「浅間か、瀬滝か」というところまで絞り込まれていたのかも。

いずれにせよ、瀬滝もかなり早い段階で目が付けられていたのですね。


■伊仙町誌(1978年12月発行) 253p-
4 瀬滝飛行場
 これより先、十九年二月、山県克己飛行中隊が来た。天城村瀬滝に本部を置き、兼ねて本部付、金子丑松技師一行の測量に基いて瀬滝飛行場の建設を始めた。これで浅間飛行場を徳之島北飛行場といい、瀬滝飛行場を南飛行場と呼ぶようになり、土地買収には浅間飛行場の例にならって地主と交渉しながら大島本島より六百五十人の労務者を徴用し、昼夜兼行の突貫工事を行なった。
 八月に入り作戦上の関係から急に南飛行場の工事を中止し、浅間飛行場の拡張をなし前記の如く掩体壕等を岡前たんぼ周辺に設置することになり、山県飛行中隊は浅間飛行場に移動した。

(徳之島町誌・1970年発行 189p- にも同じ記述あり)


某サイト様によれば、当飛行場について、

「飛行場の土地は戦後、地元住民へ払い下げられ、飛行場が造られる前の農地に戻っていった。ただ、滑走路の跡は一直線の道として残り、現在まで滑走路の面影を残している。」

とありました。

上記資料から、場所特定の手掛かりとしては、

「瀬龍部落一帯を視察し」「天城村瀬滝に本部を置いた」→瀬滝かその周辺に飛行場が建設されたはず

且つ、某サイト様の「一直線の道として残り、現在まで滑走路の面影を残している」→現在は直線道路

という感じかと。

現在のマップと、終戦直後の航空写真で瀬滝周辺を随分と探したのですが、

「ココだ!!」という場所を見つけることはできませんでした。

グーグルマップで瀬滝の直線道路を探すと、先頭のグーグルマップにマーカー付けた辺りが目立っています。

地元の方にお聞きしたところ、場所は不明ながら戦中の瀬滝飛行場建設についてはご存じであり、

「造るとしたら、そこ(マーカーで示した直線道路)なんじゃないかなぁ」とのことでした。

 
・米軍基地移設

時代がまったく異なるのですが、2010年、普天間基地の移設先として徳之島が候補になったことがあり、

Wikiには「徳之島空港の活用が取りざたされた」旨記されているのですが、

瀬滝地区が飛行場の移設候補地として、挙がったことがあるのだそうです(地元の方情報)。

ということで、瀬滝の直線道路にお邪魔してみました。


DSC_2603_00001.jpg
赤マーカー地点。

滑走路方向


DSC_2604_00001.jpg
青マーカー地点。

滑走路方向

確かに飛行場適地に見えます。




     鹿児島県・瀬滝飛行場(南飛行場)跡地         
瀬滝飛行場(南飛行場) データ
設置管理者:陸軍
種 別:陸上飛行場
所在地:鹿児島県大島郡天城町瀬滝
座 標:27°46'46.4"N 128°54'17.9"E
標 高:117m
方 位:17/35?
(座標、標高、方位はグーグルアースから)

沿革
1943年10月 8日 航空本部熊本支所長一行、12人が来島
        10日 天城村長ら幹部を帯同し、瀬龍部落一帯を視察
1944年02月 天城村瀬滝に本部を置き、瀬滝飛行場建設開始
     08月 作戦上の関係から急に工事を中止
2010年01月 「徳之島が移設候補の1つ」と報道。反対の動き広まる
     04月 18日 反対集会に15,000人参加

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この記事の資料:
地元の方情報
徳之島町誌(1970)
伊仙町誌(1978年12月発行)


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